都知事選で躍進を果たした石丸伸二氏。6月20日、渋谷駅近くで演説
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 作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は「論破されるより論破する側に行きたい」心理と、「石丸伸二的なもの」が政治の顔になった背景について。

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 石丸伸二、斎藤元彦(←兵庫県知事です)……とネット検索していたら「石丸伸二と斎藤元彦共通点」という予測入力候補がでてきた。気になっている人、多いってことですよね。今、2人が置かれている立場は天国と地獄のように違うが、2人がもし入れ替わっても、今実際に起きていることとあまり遠くない結果が生まれるのではないか……と、どこか思わせるような共通点が2人にはあるのかもしれない。

 石丸氏82年生まれ、斎藤氏1977年生まれと世代が近い男性。

 石丸氏京都大学経済学部卒業、斉藤氏東京大学経済学部卒業と超高学歴エリート男性。

 石丸氏も斎藤氏も政治家2世ではなく、既存の権力に対抗する「新しい風」として地方の首長に就任した。

 そして2人とも見た目にとても気を使っている男性政治家(に見えます)である。40代男性にしてはスッキリしている体形、手入れされている肌など、“見た目が大事”であることや、自分の見た目の意味もよくわかっている人たちのようだ。

 で、自分の外見への客観性はあるのに、他者が自分をどう見ているか(見た目ではなく)については関心がなさすぎて、行政職員や議員に対する態度が威圧的だと言われている。石丸氏に対しては現職の市議が「相手を論破するばかりで対話ができなかった」とメディアの取材に答えていたが、斎藤氏に対しては「知事のパワハラは職員の限界を超えている」という元幹部職員の告発文のほか、今や次々とモラハラ報告がされている。2人とも自分より立ち場の弱い者に対し、苛立ちを隠さず荒ぶるタイプのリーダーのようだ。

  とはいえ、こんな男性って……よくいませんか? 正直、東大や京大など、いわゆる日本のトップクラスの大学を出ているのに、こんなイキリ方をするのか? こんなモラハラ体質なのか? え〜ショック〜というよりは、高学歴でエリート意識が強く見た目も悪くなくキャリアを順調に積み重ね地位を手にしている40代男性に、こういうタイプが多いのって何故なのかしら……と、話を広げられるような思いにすらなる。

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北原みのり

北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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「論破する側に行きたい」心理