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 子どもたちの「SNSトラブル」が深刻化している。学校に行かない分、スマホを使う時間が増える夏休みは要注意だ。どのようなトラブルを想定すべきなのか。AERA 2024年7月29日号より。

【表を見る】SNSをきっかけに未成年が犯罪に巻き込まれる数が高止まり

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 事件は、SNS上での画像の無断使用が引き金になったと見られている。

 4月中旬、北海道旭川市で17歳の女子高校生が、橋から約10メートル下の石狩川に落とされ殺害される事件が起きた。殺された女子高校生が、殺人などの容疑で逮捕された女(21)の「ラーメンを食べる画像」を無断でSNSに投稿したことが原因だった。二人は初対面だったという。

「どのような写真でも、自分が意図しないところで公開されるのは、ほぼ100%の若者が『嫌だ』と答え、知り合いでもトラブルになります。自分のプライバシーが侵されたとか、辱められたと感じるからです」

 こう指摘するのは、ITジャーナリストで成蹊大学客員教授の高橋暁子さん。大学でSNS利用と情報リテラシーを教えているが、授業で学生たちに他人の写真を勝手に上げる行為について尋ねると97~98%が「マナー違反」と答えるという。旭川市の事件は、ラーメンを食べる画像を勝手に投稿されたことが不快と感じたのではないかと見る。

「最近は、顔写真や学校名、名前もSNSで公開している若者が多くいます。誹謗中傷であれば、アカウントを消したりブロックしたりすれば逃げられますが、個人を特定されれば、逃げ切れないことになります」

夏休みなど長期休暇中に、トラブル起こりやすい

 デジタルツールとスマホが生活の中で当たり前に使われる中、子どもたちの「SNSトラブル」が深刻化している。SNSはコミュニケーションの基盤となる一方、トラブルに巻き込まれるといった弊害があると指摘を受けてきた。

 警察庁によれば、SNSを通じて犯罪に巻き込まれた18歳未満の子どもは、2023年は1665人。被害数は漸減傾向にあるが、ここ数年は1600~1800人前後で高止まりしている。

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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