犯罪別では、1665人のうち児童ポルノが592人(35.6%)と最も多く、淫行や深夜の連れ回しといった青少年保護育成条例違反が534人(32.1%)、児童買春の290人(17.4%)と続く。
先の高橋さんは「今の10代はオンラインとオフラインの差がなくなっている」と指摘する。
「スマホの所持は、塾に通い始める小学校高学年から中学に入ってからが多くなります。それまではキッズ携帯でショートメールくらいしかできなかったのが、スマホによって様々なSNSを使えるようになり、ネット上で知り合いが増えていきます」
子どもたちは「ネットでやり取りすれば、もう友だち」と感じ、ネット上の知り合いと実際に会うことにあまり抵抗がない。小学生でもネット上の知り合いと会っている子はおり、高校生になると会う割合が一気に増える。特に高校生の女子は、会うことにかなり肯定的だという。
裸の「自撮り」を送ってしまう子どもの被害も増えている。警察庁によると、23年の児童ポルノ事犯で被害に遭った子どもは1444人いて、そのうち自撮りによる被害は最多の527人と4割近くを占めた。内訳は、中学生が266人(50.5%)、高校生が182人(34.5%)、小学生が76人(14.4%)と、中学生が半数以上を占めた。
「こうしたSNSトラブルは夏休みなど長期休暇中に起きやすい」と高橋さんは警鐘を鳴らす。
「学校に行かない分、自宅でSNSを使う時間が増えます。そこでオンラインコミュニケーションが加速すると、『写真を送ってほしい』と請われ送ったり、自由に使える可処分時間が増えるため『この機会に会おう』などと言われると遠くでも会いに行き、被害に遭います」
19年には、大阪市に住む小学校6年生の女児が、SNSの交流サイトで知り合った栃木県に住む30代の男に誘拐される事件があった。夏休みは、こうした思わぬ事件に巻き込まれることにもなりかねない。
危険な目に遭うだけではない。
「SNSの長時間利用により、ゲームにはまってゲーム依存になったり、高額の課金をしたりします。『闇バイト』など、犯罪に手を染める可能性も高くなります」(高橋さん)
(編集部・野村昌二)
※AERA 2024年7月29日号より抜粋