また、3月22日のソフトバンク戦では、梨田昌孝監督の通算500勝目となったウイニングボール(川崎宗則の遊ゴロ併殺打)を一塁手として捕球しながら、記念のボールを梨田監督ではなく、マウンドの江尻慎太郎に手渡したことから、直後、ボールが行方不明になる珍事件も起きている。

 同年オフ、西岡剛のメジャー移籍で手薄になった内野手の補強を急務とするロッテから「ユーティリティな内野手」と望まれ、2対1の交換トレードで移籍。11年は出場38試合と出番が半減したものの、チームになじんだ矢先の同年オフ、在籍わずか1年でサブローの人的補償で巨人へ。「内野の守備力のある右打者は、今季の巨人に必要な戦力」と原辰徳監督に見込まれての移籍だった。

 だが、1年目は4試合、2年目も8試合と出番に恵まれず、楽天との日本シリーズ終了直後に戦力外通告を受けた。12球団合同トライアウトを受験も獲得球団がなく、そのまま現役引退。巨大戦力を誇るチームの人的補償に選ばれたことが、野球人生を暗転させてしまった感も否めない。(文・久保田龍雄)

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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