昨年のWBCで優勝を決めた侍ジャパン

 米国で取材する通信員はこう語る。

「WBCの第1回大会が開催された06年当時はメジャーの各球団から主力選手が出場せず、本気で臨んでいるとは言えなかった。だが、中南米や日本、韓国を中心に世界各国で大会の注目度が高まっているのを受け、米国代表として大会参加を熱望するメジャーのスター選手たちが増えています。個々の選手の意思を尊重する球団が増えている中、クワン、イエリッチが『侍ジャパンでプレーしたい』と意思表明したことは米国のメディアでも報じられており、彼らの意思を尊重するために大会出場資格の見直しを求める声が上がっています。現時点で条件を緩和する可能性が高いとは言えませんが、両選手が今年首位打者を獲得して、改めて侍ジャパン入りを望む思いを明言すれば、WBCインクが動くことは考えられる」

 MLBでは90年代後半から中南米諸国や日本、韓国出身の選手が急増しているが、世界的に見れば野球はまだまだマイナー競技だ。野球の「ブランド力」を高めるという大会の主旨を考えると、選手の出場資格を緩和することで、日本だけでなく欧州や豪州などにルーツを持つメジャーリーガーが参戦できるようになると、さらなる盛り上がりが期待される。WBCを大規模なマーケットにするという観点でメリットは大きい。

 気になる点がある。クワンとイエリッチは米国代表として次回のWBCに出場しても不思議ではない実力者だ。特にイエリッチはメジャーを代表する強打者としての地位を築いている。18年は打率.326、36本塁打、110打点でMVPを受賞。翌19年も打率.329、44本塁打、97打点で2年連続首位打者を獲得した。今年も3度目の首位打者を狙える位置につけている。17年のWBCでは米国代表で世界一に貢献した。それなのに、なぜ侍ジャパンでのプレーを熱望するのか。

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次回WBCの外野手枠は激しい競争に?