損をしている日本の労働者

 現地のテレビ放送によれば、最近は、こうした公共の施設を備えたタワマンが増えていて、徐々に「標準タイプ」になりつつあるという。知人のタワマンも標準ということなのか。大規模な図書館が設けられているところも増えているそうだ。

 中流の中でもやや上のクラスが住むところという感じだろうか。その多くは夫婦ともにマンハッタンで働いている人が多いようだ。

 テレビの言葉では、このようなマンションに住むことを「Affordable Luxuries」と表現していた。贅沢ではあるが、お手頃あるいは手が届かないものではないというニュアンスだ。

 「高い」という話ばかりしたが、それにはもちろん理由がある。

 それは、日本の労働者が、世界の中で見たときにいかに虐げられ、損をしているかを端的に示す話だからだ。

 円安は単なる日米金利差のせいによるものではなく、構造的な日本経済の凋落を反映したものだという指摘が最近になってようやく広く理解されるようになってきた。

 それを一番痛感できるのが海外旅行に出た日本人だ。留学したり、留学を諦めたりした人たちも同じだろう。

 さらに最近は、インバウンドの外国人観光客が、数千円の串焼きの肉を「安い」と言って食べ歩く姿を見たり、外国人と日本人向けに二重価格制を取る店が出てきたりということで、国内にいても、日本人は「貧乏なんだ」と思い知らされることが普通になってきた。

 一方で、政府・日銀は、これだけインフレが続いて市民が生活苦に陥ってもなお円安是正には動かない。それどころか、政府日銀が、とにかく企業が値上げをすることが良いことだという雰囲気を作り、それに乗せられて、企業は一斉に値上げに動く。今までと同じものなのに、なぜか値段が上がって当たり前だということになってきた。

暮らしとモノ班 for promotion
いよいよ「Amazonプライムデー」開始!おすすめ商品やセールで得するために知っておきたいこと一挙紹介
次のページ
「好景気」の裏で表出する理不尽さ