東京・豊洲の店頭に置かれたランチメニューの看板。海鮮丼の「極」は7800円だ=24年4月

米はタワマン住まいが「標準タイプ」

 今年の夏は、日本からの海外旅行客はかなり増えるが、コロナ前の水準には届かない見通しだという。しかも、欧米などへの旅行者はコロナ前に比べて大幅に減っている。円安と実質賃金低下で、海外旅行、とりわけ欧米への旅行は夢の夢という人が増えているのだ。

 ニューヨークのお隣ジャージーシティを歩いていると、昼間からジョギングをしている人が多い。見ていると、彼らは30階から50階以上あるようなタワーマンションに吸い込まれて行く。この10年くらいの間にタワマンが次々に建てられたようだ。ちょうど、東京の豊洲や川崎市の武蔵小杉のようなものかもしれない。

 筆者は、近くのタワマンに住む知人の部屋を訪れる機会があった。3階分はあると思われるガラス張りの吹き抜けのあるタワマンのエントランスを入ると、コンシェルジュがいて、にこやかに挨拶をしてくれる。そこでは、宅配ロッカーに入らない大きな宅配便の荷物などを預かったり、よろず相談係をしてくれたりする。

 タワマンの8階には、とにかく巨大な共用スペースがあり、屋外にバーベキュースペース、プールやプレイグラウンドがあり、泳いだり、ガーデン用のソファに寝そべったりしている住民がいる。屋内には、設備の整ったスポーツジム、パーティーや大きな会議に使えるラウンジが三つほどあり、個室も含めたコワーキングスペース、プレイルーム、ビリヤードやゲーム台なども揃っている。もちろん、住人は無料で使える。1階には幼稚園やカフェもある。

 知人の部屋は、120平方メートルで家賃は約80万円。リーズナブルだと言っていた。小さな子供を車で5分ほどの幼稚園に預けているが、7時半から18時までの延長保育を頼むと月謝は50万円ほど。2人目の子供が生まれたので、4カ月目からまた幼稚園に入れるそうだ。家賃と幼稚園代だけで年間2000万円以上の固定費がかかる。さらにお手伝いさんも雇うというから大変な出費だ。それでも生活できるのだから、「貧しい」日本人から見ると大したものである。

暮らしとモノ班 for promotion
いよいよ「Amazonプライムデー」開始!おすすめ商品やセールで得するために知っておきたいこと一挙紹介
次のページ
国内にいても「貧乏」な日本人