「パリ五輪」が近づいてきた。盗撮を罰する「性的姿態等撮影罪(撮影罪)」の施行から1年、卑劣すぎる「アスリート盗撮」は減ったのか。
【写真】卑劣すぎる「アスリート盗撮」の構図、透けないユニフォームも
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あまりに卑劣な構図の数々
競技中のアスリートを、スポーツ写真とは別の「性的」目的で撮影する卑劣な「アスリート盗撮」があとを絶たない。
「短距離走のスタート地点後方でカメラを構え、選手が腰を上げた瞬間に尻をねらう」「表彰台の選手の股間をねらう」
典型的なアスリート盗撮の構図を知り、絶句した。何が目的で、こんな写真を撮影するのか。
昨年5月、広島市で開催された高校生の陸上競技大会では、女子選手たちの下半身を繰り返し撮影していた男が大会関係者に見つかり、通報された。警察が調べると、自宅のハードディスク内から大量の盗撮画像が見つかった。男は8月に県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕され、翌月、略式命令を受けた。
さらには、天体写真や動物の生態写真の撮影などで用いられる「赤外線カメラ」を悪用する事例も少なくない。衣服を透過して裸を写し出すことも可能なため、ユニホーム姿のスポーツ選手の胸や尻を赤外線カメラでねらうのだ。レオタードが透けて裸が映し出された体操女子選手の写真などがインターネット上に出回っている。
日本学生陸上競技連合(日本学連)で常務理事を務める工藤洋治弁護士は、選手らの不安を訴える。
「選手たち、特に女性選手は、競技中の無防備な姿を撮られて、卑わいな言葉とともにインターネット上にアップされてしまうのではないか、という不安も抱えています」
「撮影罪」施行の効果は?
工藤弁護士はアスリート盗撮の撲滅に奔走してきた。
昨年、盗撮を罰する「性的姿態等撮影罪(撮影罪)」が施行された。正当な理由なくひそかに性的な部位や下着などを撮影した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられる。施行から7月13日でちょうど1年になる。アスリート盗撮は減ったのか。
「以前と比べて、不適切な撮影行為は減っている印象です。撮影罪の成立や、これにともなう報道の影響が大きいと思います」
ただし、現行法ではスポーツ選手の胸や尻を赤外線カメラで撮影する行為は盗撮罪の対象だが、着衣の上からねらって写す行為は撮影罪の対象外だ。