客が「批評家」になりやすい

 賛否あるラーメン店のマナー問題。今後の在り方について、石動さんは「店側も客側も、お互いにリスペクトをもって向き合うべきではないでしょうか」と話す。

 飲食店の経営はやりがいがあり楽しいが、長時間労働などストレスフルな側面も否定できない。客の意に反することがあれば、時にネットで厳しい評価を付けられる。言葉が乱暴なことも少なくない。

 石動さんは、特にラーメン店の客は批評家風になりやすく、あらゆる面に対し視線が厳しいと感じている。一方で、お金を払って食べてくれる客であっても、守ってもらいたいことは守ってもらわねば、店を続けていけなくなるという現実もある。

「客側は厳しい目線や評価だけではなく、優しい気持ちを持つことも必要だと思います。店主や店員にも家族や子どもがいて、重ねて言いますが、人生がかかっているのです」(石動さん)

 店側も使う言葉には注意しなくてはならないが、そこまで追い込まれているのではないかと客側が想像することも、大事なのではないだろうか。

(國府田英之)

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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