では、早稲田大学はどのような学生を望んでいるのか。
「早稲田大学は学部ごとに個性があり、そのため求める学生像が必ずしも同じではありませんが、田中愛治総長の言葉を借りてあえてまとめれば『尖った学生』ということになる。広く好奇心を持ち、興味、関心があるテーマを大いに学び研究してほしいということだと解釈しています」(小森さん)
入試改革のひとつとして、18年度には総合型選抜の「新思考入試」を導入した(24年度から「地域探究・貢献入試」と名称変更)。通常学部ごとに行っている入試を、入学センターで実施し、法学部や文化構想学部など、6学部が導入している。早稲田での学びに必要な論理的思考や表現力、学びに対する意欲を見る狙いがある。
「大学の学びも変わってきています。大教室で教授の講義を聴講するスタイルだけでなく、少人数で議論を交わす授業も増えている。本学の教員も、FD(ファカルティ・ディベロップメント)などを通じてお互いの経験を共有し合っています。たとえば一部の学部で以前から行われていた『反転授業』が、他学部にも広がっています。特にコロナ以降はウェブの活用も盛んになり、いっそう工夫を凝らすようになりました」(同)
議論する授業が増えた背景には、23年度から授業時間を90分から100分に延ばした影響もある。たとえば前半50分は講義、後半50分で議論という使い方ができる。10分の差は意外に大きいという。
一方で小森さんは「こういう学生が欲しいと特定することは難しいが、個人的には多様な学生に集まってほしい」と話す。
早稲田大学といえば地方の学生が集まっているイメージだが、現在は首都圏出身の学生が7割弱を占める。新思考入試の名称を「地域探究・貢献」と変えた背景にも、首都圏を含め全国から学生に集ってもらい、早稲田で学んだことをフィードバックし、地元に貢献してほしいという狙いがある。
「地域への関心の強い生徒には、首都圏かそれ以外出身かを問わずぜひこの入試にチャレンジしてもらいたい。経験の異なる多様な生徒に早稲田大学を目指してほしい」(小森さん)