早稲田大学=東京都新宿区
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 情報処理能力から問題解決力へ──。産業構造の変化に伴って社会に求められる人材が変わってきた。優秀な学生の獲得は、少子化のなか、大学の競争力アップにも直結する。いま大学はどんな学生を求めているのか。AERA 2024年7月8日号より。

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 いま、大学が求めている学生像が変わりつつある。大学通信の情報調査・編集部部長の井沢秀さんは言う。

「昔は優秀な労働者が求められていましたから、大学入試では正確で、速く解く能力が求められていました。ただ、高度経済成長の時代、欧米に追いつけ追い越せでしたが、追いついた後、どうするかを考えられる人材がいなかった。そして、行き詰まったのが今の日本です。大学は自ら考えて動くことができる人材を求めています。大学入試も、知識の再生をする一般選抜だけではなく、総合型選抜、学校推薦型選抜が増えています」

自分の頭で考える学生

 定員を埋めるために推薦入試を活発化している大学もあるが難関大学は自分の頭で考えられる人材を求めている。河合塾の主席研究員・近藤治さんは言う。

「経済産業省によると、2050年、今の中高生がバリバリ働いている頃の未来は、問題発見力、的確な予測、情報収集、客観視、コンピュータースキルや言語スキルが求められます。これらはペーパーテストでも測れますが、推薦入試や総合型選抜で重視されるプレゼンテーション能力であったり、課題を発見し解決策を考える力を指します。少子化が進む中、大学は優秀な学生を一本釣りしなければなりません。転換期に向けて、大学も変わりつつあります」

早稲田大学

 2032年の創立150周年に向け、さまざまな戦略を「Waseda Vision 150」として打ち立てている早稲田大学。そのひとつが入試改革だ。入学センター長を務める教育・総合科学学術院教授の小森宏美さんは、次のように話す。

「入試は受験生に対するメッセージ。本学はこういう教育をするから、この入試を越えて来てほしいという期待が込められています」

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