日本ハムが新本拠地に移転後、札幌ドーム(以下ドーム)が想像以上に苦しんでいる。赤字幅も当初想定していたものよりも膨らみ、経営状況は日増しに悪くなり存続すら危うくなりつつあるという声も多い。
【写真】本拠地移転から25年以上経つが、今でもファンに愛されている球場がこちら
「プロ野球をやらせてくれないのでね」(株式会社札幌ドーム社長・山川広行氏)
6月21日、ドーム運営会社の株式総会後に企業トップが発したコメントが大きな注目を集めた。ドームの2024年度3月期決算は6億5100万円の赤字で最終収益は前期比7億7100万円の減少となった。
「一般企業でこれだけ大きな赤字を出せば経営責任が徹底的に問われる。トップの発言としては軽過ぎて呆れてしまった」(経済専門誌ライター)
ドームの稼ぎ頭だった日本ハムは、2023年から自前で建設した北広島市のエスコンフィールド北海道へ移転。現在はサッカーJ1リーグ・北海道コンサドーレ札幌がドームを本拠地として主に使用しているが、プロ野球と比べると試合数は比較にならないほど少ない。
「『(日本ハムの)移転後数年は一時的に赤字になるが、その後は黒字転換できる』と強気に出た姿勢も虚しいばかり。見通しが甘かったのは明らか」(在京テレビ局スポーツ担当)
日本ハム移転後には様々な施策を打ってその穴を埋めようとしたが芳しくないものが目立つ。ドーム内を幕で区切り2万人前後のコンサートを開く「新モード」の準備に10億円をかけたが利用される回数は増えてこない。
さらに年間2億5000万円以上、2~4年の複数年契約でネーミングライツ(命名権)を売り出したが手を挙げる企業は現れず。当初は今年2月29日を締め切りとしていたが、募集を無期限とし、希望金額未満でも応募可能としている。
いずれの施策も札幌市民などを中心に「それで大丈夫なの?」と最初から心配の声があがっていたが、残念ながら現状懸念した通りとなってしまっている。
「アマチュアスポーツの開催などもしているがスズメの涙程度の収入にしかならない。新モードや命名権など、的外れな経営方法には疑問しかないが、今のような状況であの社長のコメントは誰もが納得いかないのではないか」(経済専門誌ライター)