参院本会議で、改正政治資金規正法が可決、成立した(24年6月)

「妥協」を許したマスコミの罪

 「とにかく妥協して改正案をまとめることが大事」という相場観を作り、その結果、規正法改正法成立が一つの成果であるかのような錯覚を国民に生じさせたのだ。全く不完全な法律がこの先何年も放置されることを政治部が積極的に後押ししたと言って良いだろう。彼らは民主主義がどうなるかには関心がない。日々の政治家の動きを追い回し、誰と誰が会食して、こんな話をしたらしいというくだらない記事を書いて満足しているだけで、本質的な政策議論を書くことなどないのである。

 かくして、規正法改正というテーマは、「一段落した」ことになり、彼らは、次のテーマである、東京都知事選と自民党次期総裁争いの宣伝記事に集中している。

 与野党伯仲で「政権交代の可能性も」などと書くのに、自民総裁選関連記事は紙面に溢れるのに、政権交代で次の首相候補となる立憲民主党の代表選についての記事はほぼゼロに近い。恥を知れと言いたくなる。

 マスコミの罪についてはこの辺にして、もう一方の主役の話をしよう。それは、野党の国対(国会対策委員会)である。

 国対は国会の常任委員会のような組織とは異なり、各党に個別に置かれる組織だ。政権の意向を体する与党国対と野党国対は、国会運営について協議する。中でも、自民と立憲の国対委員長は、緊密に協議しながらスケジュール管理を行っていく。

 スケジュール管理と言うと重要性が低いように感じてしまうが、実はそうではない。

 一番わかりやすいのが、予算案審議の日程管理だ。今年度予算は、昨年度末の今年3月28日に成立した。予算審議では、予算案がいつ成立するかが重要な与野党攻防のテーマとなる。予算案が3月末までに成立しないと暫定予算が必要になる場合があり、政権の責任問題となる。

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