大学病院と国立病院をはしご

 いつも利用している大学病院のソーシャルワーカーさんに相談すると、すぐに動いてくださいました。大学病院での通常のレスパイト利用は約1週間ですが、他にどこにも受け入れ先がないことから、普段より少し長めにレスパイト入院できるように病棟と調整してくださるとのことです。そして、自宅から車で2時間ほど離れた場所にある国立病院の在宅支援部ともつながることができました。 

 この病院は、長女が特別支援学校を卒業する今年度いっぱいで大学病院のレスパイトが利用できなくなることを見越して、4年前に登録をしたところです。これまで国立病院のレスパイトについては、大学病院のレスパイトがコンスタントに利用できていることと、自宅から遠いことから、まったく利用していませんでしたが、改めて診療情報提供書を郵送して現状を相談したところ、国立病院のソーシャルワーカーさんと小児科のドクターが前向きに検討してくださり、急遽、「来月の平日に2泊のお試し入院を経て、受け入れ可能」というお返事をいただき、大学病院のレスパイト期間が終わったら、続けて国立病院でのレスパイトを利用することになりました。

 大学病院は「医療証」、国立病院は「障害福祉サービス受給者証」を使ってレスパイト入院をする予定です。それぞれ使う制度が違うため、組み合わせて利用することが可能となり、約1カ月は安心して長女をお願いすることができそうです。

親自身が調整する厳しさ

 私はたまたま医療ソーシャルワーカーでもあったので、自分で考えて動き、支援につながることができましたが、保護者が制度や病院の情報集めの段階からひとりで調整するのはかなり厳しいと思います。それでも現実は、ほとんどの場合、自力で動くしかありません。

 医療的ケアが必要な子どもは増加傾向であり、さらに18歳を超えて生きることが珍しくなくなりました。安心して子どもを育てたいという願いは、障害の有無に関わらず叶えられてほしいと思います。「保護者の万が一」を支える切れ目のない支援体制づくりは喫緊の課題です。

AERAオンライン限定記事

著者プロフィールを見る
江利川ちひろ

江利川ちひろ

江利川ちひろ(えりかわ・ちひろ)/1975年生まれ。NPO法人かるがもCPキッズ(脳性まひの子どもとパパママの会)代表理事、ソーシャルワーカー。双子の姉妹と年子の弟の母。長女は重症心身障害児、長男は軽度肢体不自由児。2011年、長男を米国ハワイ州のプリスクールへ入園させたことがきっかけでインクルーシブ教育と家族支援の重要性を知り、大学でソーシャルワーク(社会福祉学)を学ぶ。

江利川ちひろの記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
「集中できる環境」整っていますか?子どもの勉強、テレワークにも役立つ環境づくりのコツ