そして、9点リードにもかかわらず、最終回に守護神・小山を投入。その小山は「プレー中のスライディングでどうこうやられても……。あの展開(9点リード)で僕が行くんだから、そういう意味でしょ」と語り、“やられたらやり返せ”と腹を括ってマウンドに行ったことがわかる。
同年は9月25日の同一カードでも、7回1死二塁、銀次の二ゴロが一塁悪送球となり、浅村栄斗のタッチプレー判定をめぐり、渡辺監督が5分間にわたって猛抗議するシーンが見られた。そして、因縁の相手・楽天に優勝を許すと、「今年の優勝が楽天に決まったときには、監督を退こうかなと思っていました」とCS敗退後に退任した。
今回はそれ以来、11年ぶりの現場復帰。監督代行としても、元気のないチームへのカンフル剤として、グラウンド上で“熱いナベQ”の姿が何度も見られそうだ。(文・久保田龍雄)
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。