たちまち両軍ナインによるもみ合いが始まるなか、オリックス・山田勝彦コーチが中島を非難する声を聞いた渡辺監督は「わざとじゃないにしたって、ぶつけたほうがごちゃごちゃ言えることじゃない」とぶち切れ、「まだ言ってんのか!こっちに来い!」と突っかかっていった。数人がかりで取り押さえられ、事なきを得たが、試合後も「よくわからないクソガキが何か言ってるから」と山田コーチを非難。これに対し、オリックス・岡田彰布監督も「知らん。向こうが来るんやもん。初戦もT(-岡田)にわからんように当てとるで」と反論した。
ちなみに両監督が指揮をとった10年から12年までこのカードは死球などを原因とするトラブルが相次ぎ、遺恨試合の様相を帯びていた。
“闘将”星野仙一監督と掴み合いを演じたのが、13年6月27日の楽天戦だ。
事件は1対10とリードされた西武の9回の攻撃中。2死無走者からスピリーに対し、小山伸一郎が背中を通過する143キロ速球を投げたことがきっかけだった。
スピリーが色をなしてマウンドに歩み寄ったが、小山は帽子を取って謝る素振りも見せず、逆に「来るなら来い!」とばかりに胸を突き出した。両者が睨み合いながら距離を縮めていくと、両軍ナインが駆けつけ、もみ合いに発展する。
星野、渡辺両監督も乱闘の輪の中になだれ込み、指揮官同士が胸を突き合わせる過激なシーンも。星野監督が渡辺監督の右腕を抑え込むと、しばらく両者は睨み合い、試合は約4分中断した。「野球を真剣にやっているんだから、こういうことはある」と渡辺監督がほとばしるような思いを口にすると、星野監督は「何もエキサイトしとらんよ」と年長者の余裕でさらりとかわした。
この事件には伏線があった。初回の楽天の攻撃で、1死満塁からマギーの三ゴロを5-4-3の併殺に打ち取ろうとした際に、一塁走者・ジョーンズが二塁ベースに入った山崎浩司に強烈なタックルをかまし、負傷交代させていた。
その後、7回にジョーンズが山本淳から左手甲に報復にも思える死球を受けたことから、星野監督は「スライディングは当たり前のプレー。三塁手が二塁に投げるのが遅かった」と指摘し、“報復死球”への怒りを見せた。