現状打破のため「外部招聘を検討すべき」
スポーツ紙デスクはこう提言する。
「監督を代えてすぐにチーム状態が上向くほど簡単な世界ではありません。今年は若手の育成に特化しても良いと思います。問題は来年以降です。監督問題に注目が集まりますが、打撃コーチも重要です。西武は球団OBがコーチを務めるケースが多いですが、現状を打破するために外部招聘を検討するべきです」
打撃コーチの外部招聘。その候補の一人として挙げられるのが、昨年まで中日の2軍打撃コーチを務めた中村紀洋だ。近鉄、中日、楽天などを渡り歩いた現役時代に通算404本塁打をマークしたスラッガーは、現在アマチュア野球の指導に携わり、浜松開誠館の非常勤コーチを務めている。中日で22年から打撃コーチを務めたが、現場の評価は高かったという。
「ノリさんの打撃理論は独特ですが理にかなっていて、言語化する能力が高かった。鵜飼航丞など指導を受けた中日のファームの選手たちは軽く振って打球が飛ぶようになりましたし、もう少しコーチをやっている姿を見たかった。西武と縁があるわけではないですが、渡辺監督代行とは現役時代に対戦経験があり、慕っています。打撃コーチとして呼ぶ価値は十分にあると思います」(名古屋のテレビ局関係者)
ソフトバンクを取材する記者は、「名指導者の卵」として内川聖一の名前を挙げる。08年に右打者最高打率.378を獲得するなど首位打者に2度輝き、通算2186安打をマーク。技術の高さは目を見張るものがあり、難しい球を右翼方向に運ぶ打撃は芸術とも称された。横浜(現DeNA)、ソフトバンク、ヤクルト、独立リーグ・大分でプレーし、昨年限りで現役引退。現在は野球評論家として活動する一方、今年2月は鈴木誠也(カブス)のパーソナルコーチで米国のスプリングキャンプに同行し、助言を与えていた。
「打撃センスがあるのはもちろんですが、練習量が凄かった。名伯楽と呼ばれる杉村繁コーチ(現ヤクルト打撃コーチ)の指導を受けてきたので、打撃の引き出しが多いのも強みです。選手と年齢が近く、コミュニケーション能力が高いので、コーチでも力を発揮すると思います」