西武の黄金時代をつくった選手たち。左から清原、石毛、秋山、デストラーデ

 2018、19年とリーグ連覇を飾った際も「打ち勝つ野球」だった。特にプロ野球歴代3位の792得点をたたき出した18年の「山賊打線」は強烈だった。1番・秋山翔吾(現広島)、2番・源田、3番・浅村栄斗(現楽天)、4番・山川穂高(現ソフトバンク)、5番・森友哉(現オリックス)、6番・外崎修汰、7番・栗山、8番・中村、9番・金子侑司。代打には本塁打王獲得の実績を持つメヒアが控えていた。

 当時の西武と対戦した他球団の投手は振り返る。
「長打力があるだけでなく、秋山、源田、外崎、金子と走れる選手がそろっているので厄介でした。攻撃力のバリエーションが幅広く、打線に切れ目がないのでどこからでも得点が入る。6、7点差リードしていてもひっくり返される怖さがありました。今まで対戦した中で間違いなく史上最強の打線でしたね」

一本立ちできない若獅子たち

 だが、この強力打線の伝統は続かなかった。秋山、浅村、山川、森と主力選手たちがFA権を行使して他球団に移籍。その穴を埋めるべく若手が起用されるが、なかなか一本立ちできない。中村、栗山は今年で41歳を迎える。31歳の源田、外崎も成績が下降気味だ。中堅、ベテランを脅かす選手がなかなか出てこない。近年は外野のレギュラーが3枠とも固まっていない。

 得点が取れなければ、投手陣に負担が掛かる。松井稼頭央監督が就任した昨年は5位に沈み、就任2年目の今季も交流戦前に15勝30敗と最下位に低迷。球団が休養を発表し、渡辺監督代行が指揮を執った後も3勝10敗と上昇気流に乗れない。

 西武を取材する記者は「もう少し高卒のスラッガーを獲得した方がいいかなとは思いますが、なかなか素材がいないですからね。スカウティングの方向性は決して間違っていないと思います。蛭間拓哉、岸潤一郎、滝沢夏央、山村崇嘉、若林楽人、長谷川信哉、村田怜音……。彼らはきっかけをつかめばブレークする可能性を秘めている」と強調する。

 他球団のスコアラーも同じ見方を示す。
「西武は楽しみな若手が多いですよ。蛭間は打率3割を打てる素材だし、山村も飛ばす力が凄い。個人的に好きなのは長谷川ですね。パンチ力があるし足が速くて外野の守備も巧い。失敗に目をつむって、我慢して起用し続ける価値がある選手たちだと思います」

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中村コーチの指導で「打球が飛ぶようになった」