「子どものため」は、多くの親が思うことですよね。信頼して見守るより、世話を焼くほうがラクなのも事実です photo iStock.com/takasuu

 自分自身でひもといてたどり着いたのは、「子どものために」と言いながら、実は自分のためにやっていたことが多かったということ。遅刻しないように毎日起こして、宿題を手伝って、忘れ物があれば学校まで届けに行って……。先回りして世話を焼いて、長男が周りに後れを取らないようにと必死でしたが、いま思えば、自分が世間からどう思われるかを気にしていただけで、「子どものため」というのは隠れみのだったんですよね。たぶん、自分の不安を解消するためにやっていたんです。

 ほかにも、自分の思い描いた「いい大学→いい会社→安定した生活」というレールに乗ってほしくて無意識に長男を誘導しようとしていたことや、自己肯定感が低い息子に何とか自信を持ってもらいたくて、水泳、かけっこ、体操、野球といろんな習いごとをさせたけれど、そのことで逆に自信を失わせていたかもしれないということに、気がつきました。……というより、なんとなく分かってはいたものの認めたくなかったのが、崖っぷちまできたことで、自分でもいいかげん、認めないといけないと観念したのだと思います。

 もちろん、「あぁ、なんてことをしてしまったのだろう」と後悔したし、落ち込みましたが、後悔しても時間を戻すことはできません。そのあたりから、本来の楽天的な自分を取り戻したように思います。目の前に壁が立ちはだかったとき、私はいつも喜々としてアイデアを出して乗り越えてきたんだ、と思い出しました。いまこそ、それを子育てに生かそう、と。「なんで」「どうして」という自責や他責の念からも、解放されいきました。

 ちょうどその頃に出会ったのが、「ことばキャンプ」でした。当時、ママ向けのビジネススクールに通っていたのですが、ことばキャンプの講師の方がゲストでいらっしゃって、実際にことばキャンプのプログラムを受講したのです。言葉を使って人とコミュニケーションすることの楽しさを知り、大きな衝撃を受けました。脳は「快」で動きだすといつもおっしゃっている記憶術の吉野邦昭先生の言葉通り、私の頭の中の「快」が動きだしたのです。

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