これはすごいと思い、早速、家庭で実践しました。まず試したのは「聞く耳モード」と言われるもので、聞く態度を変えることでした。目を見ながら笑顔でうなずき、相づちを打ちながら最後まで聞き切る。じっくりと最後まで聞いてから、「そうなんだね、話れくれてありがとう」「気持ちを伝えてくれてうれしいよ」などと伝えていきます。「二者択一のワーク」も取り入れました。「今日の晩御飯、肉と魚のどっちが食べたい?」と聞いて子どもに選んでもらい、選んだ理由を聞いてみる。理由を教えてくれたら「へ~、そうなんだね。教えてくれてありがとう」と子どもの意見を尊重し、承認しました。結果、自己を理解する力、自分で決定する力、意思表示する力が育っていきました。

 まだ小さかった下の子どもたちは、面白いくらい表現力や語彙(ごい)力がぐんぐんと身についていきました。長男も、ちょっとずつですが確実に変わっていきました。それまで部屋にこもりっきりだったのが、だんだんと部屋から出てくるようになり、親子の会話が増えていきました。子どもたちの中で、「コミュニケーションをすることの楽しさ」を脳が「快」と受け止めて、変わっていったのだと思います。

「何をどう言えば子どもたちが変わるのか」といろんな本を読みあさっていたのですが、子どもたちの話をしっかりと最後まで聞くだけで、こんなにも変化があるのだということにとても驚きました。以前は、子どもたちが話しているのを遮って、私の意見や否定、ダメ出しをしていたのですが、この「聞く耳モード」を実践するだけで子どもたちはたくさん話してくれるようになったのです。子どもを変えようと思っていたけれど、変わるべきは大人である自分でした。

 ちょっとしたことでも、意識してやってみることで子どもに変化があることに気がつき、だんだんと子どもたちに可能性を感じるようになり、自分の子育て感がどんどん変化していきました。不登校ということ自体も子どもと一緒に何かを変えるチャンスなんだと思えるようになり、視点が変わってきました。

暮らしとモノ班 for promotion
【再ブーム到来】撮ったらその場でプリントが楽しい♪インスタントカメラ「チェキ」
次のページ
いつからでも「やり直し」が効く