先の見えない真っ暗なトンネルの中にも、一筋の光が差し込む瞬間が必ずやってきます
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 3人の子どもの不登校を経験し、不登校の子どもやその親の支援、講演活動などを続ける村上好(よし)さんの連載「不登校の『出口』戦略」。今回のテーマは「不登校に対する視点の変え方」です。

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 前回の記事では、不登校の原因が「無気力・不安」だというのは本当なのか、ということについてお話ししました。今回は、「不登校に対する視点の変え方」についてお話ししていきたいと思います。

 わが子が不登校になって喜ぶ親御さんはいないと思います。ほとんどの方がショックを受け、戸惑い、不安になって、自分や周りを責めてしまうのではないでしょうか?

 まさに、私がそうでした。長男の「不登校」という現実を突きつけられて、失意のどん底にいました。「私の子育てのせいだ」「あの言葉がいけなかったのかも」「先生がもうちょっとフォローしてくれていたら」「クラスメートがもうちょっと気にかけてくれていたら」……。ネガティブな思いが頭の中をぐるぐるして、原因探しを始め、底なし沼のようなところにハマっていきました。そして、いつの間にか視野が狭まっていき、先の見えないトンネルに入ってしまったような感覚に陥っていました。

 当時、話を聞いてもらった知人に言われたのが「よしさん、息子さんはまだまだトンネルの入り口だと思いますよ」という言葉でした。その時は「ふ〜ん、そうなんだ。でもまぁ、大丈夫だろう」と軽く考えていましたが、やる気なさそうに家でひたすらゲームしていたり、昼夜逆転して家族を避けたりする時期に突入して、その意味を理解することになりました。

 この連載の1回目で書いたように、長男との「事件」が起こってから、私は不登校と向き合おうと決め、長男のことを受け入れられるようになりました。だんだんと目の前の事象から他のことに目を向けられるようになり、視野を広げることができるようになったのです。自分の子育てを振り返ってみようと思い、なぜ不安や焦りが常に頭の中にあったのか、なぜそれを子どもにぶつけていたのか……ということをじっくり考えました。

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「子どものため」は隠れみのだった