過去5年間の各警察本部の警察官や職員による盗撮件数(警視庁は黒塗りとなっており、盗撮と確認することはできなかった)

 ただ、前述した数字は、警察が公開した資料や、新聞報道などに基づくものであり、実際にはこれより多くの人数が処分されていることがわかる。

 例えば、和歌山県警は処分理由の多くを「公務の信用を失墜する行為をしたもの」としており、具体的にどのような不祥事を起こしたかは明らかにしていない。島根県警も同様だ。勤務していた警察署の女性用仮眠室に盗撮目的でカメラを仕掛けた警察官の処分の記録について、筆者に開示された資料には「当該職員は、令和4年7月19日から同月20日までの間、島根県内において、私行上の信用失墜行為をしたものである。」としか書かれておらず、新聞記事を参照しなければ何が理由で処分されたのかわからないようになっていた。

和歌山県警は処分理由の多くを、「公務の信用を失墜する行為をしたもの」とだけ説明。不祥事の詳細を明らかにしない警察本部は他にもあった
島根県警は、警察署の女性用仮眠室に盗撮目的でカメラを設置した警察官の処分について、「私行上の信用失墜行為」との説明だけ

 そして、前述したが、全国の都道府県警で盗撮による処分件数が最も多かったのは、職員数が2万人を超える大阪府警だった。過去5年間、年平均で3.2人が処分されている。次に多いのが職員数約1万7千人の神奈川県警、さらに1万4千人超の愛知県警、1万2千人超の福岡県警が多かったことを考えると、職員数の多さが処分件数の多さに比例していることは明白だ。

警視庁は集計不可

 そうなると、大阪府警の倍以上の職員数を抱え、首都・東京を守る警視庁が一番多いのだろう、と推測ができる。しかし、警視庁に情報開示請求をして出てきた資料からは、盗撮で処分された職員数を集計することはできなかった。黒塗りにしてわからないようにしてあるからだ。

 ここに2023年1月17日付けの警視庁職員の懲戒処分説明書がある。大手紙の元警視庁担当記者は「規則違反した警察官が処分される際に作成される文書で、規則違反の内容と、処分内容が書かれています」と語る。

 文書の右上に「適用条文」という欄があり、どのような法律や規則に違反したかが記されている。例えばそこに、「刑法第235条(窃盗)」などと書かれていれば、モノを盗んだのだろうと推測することはできた。

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警視庁は記録を2年で破棄