ただ、氏名や所属などの個人情報はもちろん、違反の具体的な内容は黒塗りにされている。いわゆる「のり弁」と呼ばれる行政文書だ。「職員は、正当な理由がないのに」という言葉以降は、日付を含めほとんどが黒塗りで隠され、具体的にどのような違反を犯したのかはわからない状態だ。

 盗撮であれば「迷惑防止条例」の中に含まれるはずだが、それが盗撮なのか、痴漢なのか、また別の行為なのかは、黒塗りにされていてわからないようになっていた。

警視庁の懲戒処分説明書。内容はほぼ黒塗りで、何をして処分されたのかは不明だ

 また、警視庁は、懲戒処分の記録を2年で破棄しており、22年より以前の記録については入手できていない。

 ということで、22年と23年の2年間を確認した。「強制わいせつ・痴漢・盗撮等」が理由で処分された警察官は19人いた。前述したとおり、その内訳はわからないが、迷惑防止条例違反などで処分されたのは、少なくとものべ13人いた。残りは住居侵入、青少年育成条例違反、セクシュアル・ハラスメント、公然わいせつ、児童買春、強制性交で処分された警察官がそれぞれ1人ずついる。

性犯罪目的の住居侵入

 住居侵入事案については、警視庁は行為の目的別に分類を行っているとみられる。例えば、建造物侵入と窃盗を理由に22年9月16日に懲戒免職処分となった巡査について、規律違反の分類は「窃盗・詐欺・横領等」となっている。また、住居侵入を理由に22年9月16日に減給10分の1(6カ月)の懲戒処分となった巡査部長については、規律違反の分類は「その他」となっている。つまり、同じ住居侵入でも、「強制わいせつ・痴漢・盗撮等」が理由で処分された事案に関しては、性犯罪目的の住居侵入だったと予想することができる。

 警察官による盗撮は今年に入ってからも、大阪府警と埼玉県警、鹿児島県警の巡査部長、千葉県警の巡査がそれぞれ、盗撮で逮捕されたり、処分を受けたりしたことが報じられている。鹿児島県警の前生活安全部長が国家公務員法違反(守秘義務違反)の疑いで逮捕された事件では、本部長が警察官の不祥事を「隠ぺい」したと指摘された(本部長は否定)。

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不倫も盗撮も痴漢もまとめて「異性関係」に