スポーツクラブやスイミングクラブで、指導担当の男が女児にわいせつ行為をして逮捕される事件が相次いでいる。性犯罪加害者治療の専門家によると、子どもを性の対象とする人間が子どもと関わる職業に就き、加害者になる事例も現場では少なくないという。幼い子どもの、その後の人生を破壊する卑劣な犯罪を防ぐ術はないのか。
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今年4月、都内の大手スポーツクラブで水泳指導員だった20歳の大学生の男が強制わいせつ容疑で逮捕された。事件を報じた写真週刊誌「FLASH」によると、クラブ内にあるトイレの個室に3歳女児を連れ込んでわいせつな行為をしたとされる。このスポーツクラブに確認したところ、「逮捕については知らされていない」「警察の捜査が継続中」と詳細は明かせないとしたうえで、「(会社では)女児の着替えやトイレは女性スタッフが手伝うことをルールとしている」と回答した。
男性指導員は女子トイレに入れないという常識的なルールは設けられていたようだ。だが、それでも犯罪が起きてしまった。
また同月、さいたま市内のスイミングクラブで、小学生の女児に複数回わいせつな行為をしたとして指導担当の男(35)が同容疑で逮捕された。愛知県でもスイミングスクールのインストラクターの男(48)が、スクールに通っていた複数の女児の裸や水着姿を盗撮し、知人に送信したとして児童買春・児童ポルノ禁止法違反の疑いで逮捕されている。
スイミングを通して子どもの健やかな成長を促す現場で、なぜこのような卑劣な事件が多発するのか。2500人を超える性犯罪加害者の治療プログラムに携わってきた大船榎本クリニック精神保健副部長の斉藤章佳さん(精神保健福祉士・社会福祉士)はこう語る。
「子どもとかかわる仕事をしている人の大半は、子どもが純粋に好きで熱心に働いている方々だと思います。ただ、性の対象が幼い子どもに向いている小児性愛障害傾向の人間が子どもとかかわる職業に就き、加害者となってしまう事例が少なくないのは事実です」