友野:米国の研究では、義務教育段階では男子の方が授業での発言機会が多いなど、共学でも必ずしも教育体験が平等でないケースが指摘され、別学の価値が認められています。単に男女が一緒にいれば平等になる、理解が進むわけではない。そこを意識しつつ議論する必要があると思います。

おおた:男女別学の存在が、誰かの何らかの権利を侵害しているか?という視点も大事です。「県内トップの男子校に行けない女子がいる」という声が、今回の発端でした。では、そのトップ校に行きたい目的は何か。たとえば「東大に行きたい」という目的達成の権利は、その高校に行かないと致命的に断たれてしまうものか。他の形でも実現可能な目的なら、そのために別学で学びたい人たちの権利を奪う正当性はあるか。そう考えてみると、議論を前に進めやすいのではないでしょうか。

(構成/編集部・小長光哲郎)

AERA 2024年6月17日号

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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