広島時代の前田健太
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 昨年までパ・リーグ3連覇を達成したオリックス。しかし今年は開幕から黒星が先行し、ここまで首位のソフトバンクとは12ゲームと大差をつけられての5位に沈んでいる(6月9日終了時点)。主力に故障者が続出している点もあるが、やはり大きいのはメジャーに移籍した山本由伸(現・ドジャース)の穴ではないかという声も多い。山本の過去3年間の勝敗を改めて見てみると18勝5敗、15勝5敗、16勝6敗と1人で10以上の貯金を稼いでおり、まさに絶対的な大黒柱だったことがよく分かるだろう。

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 では過去に山本のような絶対的エースが抜けてもチームが優勝を果たした例はあるのだろうか。まず近年で真っ先に思い浮かぶのがダルビッシュ有(現・パドレス)の退団した2012年の日本ハムだ。ダルビッシュはプロ2年目の2006年から2011年まで6年連続二桁勝利、5年連続で防御率1点台をマークしており、その存在感は昨年までの山本と比べても同等かそれ以上のものがあった。

 日本での通算勝率は山本の.707に対してダルビッシュは.710であり、先発すれば7割以上の確率で勝つという存在はそうそういるものではない。2011年の日本ハムはリーグ2位だったものの、優勝したソフトバンクとは17.5ゲーム差をつけられており、ダルビッシュが抜けた2012年のシーズンに優勝と予想していた評論家も多くはなかった。

 しかしシーズンが始まると前年まで通算6勝だった吉川光夫が台頭。14勝5敗、防御率1.71という見事な成績でMVP、最優秀防御率、ベストナインを受賞する。また野手では5年目の中田翔がリーグ2位タイとなる24本塁打を放ち、自身初めて20本塁打をクリア。この若手2人が新たな投打の柱となったことが大きかったことは間違いないだろう。またライバルであるソフトバンクも2011年に19勝をマークしていたホールトンが巨人、和田毅がメジャー(オリオールズ)に移籍していたという点も日本ハムにとっては幸運だったと言えそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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