同じように投手の大黒柱が抜けて優勝を勝ち取った例としては、前田健太(現・タイガース)の抜けた2016年の広島も挙げられる。前田は2010年から6年連続で二桁勝利を記録。2015年も15勝8敗、防御率2.09という見事な成績で自身2度目となる最多勝と沢村賞にも輝いていた。ちなみに2015年は長年メジャーで活躍した黒田博樹が8年ぶりにチームに復帰し、期待も大きかったもののチームは4位に沈んでいる。

 そこから前田が抜けたということもあって、2016年シーズンの広島の下馬評も決して高いものではなかった。しかし前年5勝8敗と負け越していた野村祐輔が16勝3敗で最多勝を獲得するなど大ブレイク。さらにリリーフでは高卒6年目の中崎翔太、高卒7年目の今村猛が大きく成績を伸ばし、新外国人のジャクソンとヘーゲンズも勝ちパターンとして活躍するなど、前田の穴を全員で埋めて見せたのだ。

 そしてそれ以上に大きかったのが高卒4年目の鈴木誠也(現・カブス)のブレイクと、この年39歳の大ベテランとなっていた新井貴浩の復活だ。鈴木は前年まで一軍で通算81安打、6本塁打だったものの、この年いきなり打率.335、29本塁打、95打点を記録。一躍セ・リーグを代表する打者へと駆け上がった。また前年阪神から復帰していた新井もチームトップとなる101打点をマーク。このシーズンのMVPに輝いている。ここまで若手のブレイクとベテランの復活が重なるケースも珍しいだろう。

 直近では菊池雄星(現・ブルージェイズ)が抜けた後の2019年の西武も当てはまるだろう。菊池はダルビッシュ、前田ほどの数字は残していないが、2017年には16勝6敗、2018年にも14勝4敗と2年連続で貯金10を稼いでいる。確実に計算できる投手が抜けたという意味ではこれまでに紹介した2チームと変わらないだろう。

 そしてその穴を埋めたのが高卒5年目の高橋光成と新外国人のニールの2人のピッチャーだった。

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?
次のページ
今年のオリックスはどうか?