「人口減少問題」より「お金」の議員
移民を本格的に受け入れるとなれば、議論すべき論点は山のようにある。しかも答えを出すのが極めて難しい難問ばかりだ。
実は、人口減少問題は、30年前から議論されてきた。私が経済産業省の課長補佐だった1990年代初めには、「長期ビジョン」の議論が盛んだったが、その検討の中で、私たちも議論を始めていたのをはっきり記憶している。
しかし、これまでの30年間、自民党の時代錯誤の排外主義的移民反対主義者たちが存在していたため、彼らの反対をうまくかわしながら、外国人を建前上は「単なる労働力」「短期滞在者」としてのみ受け入れるという弥縫策に終始してきた。
また、少子化問題も、選挙のための人気取りとしての給付政策ばかりで、女性活躍や男性の働き方改革、さらには家庭の負担を社会で分かち合うという構造的な改革を避け続けてきた。
少子化問題は、防衛力強化などよりもはるかに国家安全保障にとって重要だということに自民党のおっさん議員たちはいまだに気づいていないように見える。
彼らは、これほど深刻な少子化を前にしても、武器弾薬を増やせば国家を守れると考えているようだ。まさに「お花畑に住む人々」と言って良いだろう。
そして、彼らの最大の関心事は、いかにして領収書なしで使える金を守るかということ。そのために必死なのだ。
「人口問題は、数十年の潜伏期を経て一気に発現」するというトッド氏の言葉は、今の日本にこそ当てはまる。本来なら、とっくの昔に手を打っておくべきだったということなのだ。
しかし、危機感ゼロの自民党裏金執着議員たちに任せている限り、彼の言葉はなんの役にも立たない。
もちろん、そんな議員を選び続けた国民にも大きな責任がある。
日本の国民は、これから何十年かかけて、自民党バカ議員が犯した罪の責任を彼らの代わりに負って、そのツケを払うことになるのだろう。