1993年6月9日、当時皇太子だった天皇陛下と、皇后雅子さまの結婚の儀が、宮中賢所で執り行われた。それから31年の年月を、皇室番組の放送作家のつげのり子氏は「プロポーズの言葉を貫き通した31年」と話す。雅子さまへの深い愛情と夫婦の絆を天皇陛下の言葉から振り返る。
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「皇室に入られるには、いろいろな不安や心配がおありでしょうけれども、雅子さんのことは僕が一生、全力でお守りしますから」
おふたりの婚約内定の記者会見で明かされた、皇太子さま(当時)から雅子さまへのプロポーズの言葉だ。
そして、ご成婚から31年の時を経ても、天皇陛下の皇后雅子さまへの愛情は変わらぬままだ。
天皇陛下は毎年2月、誕生日にあたって記者会見に臨んでいる。そのときの陛下のお言葉で、つげ氏の印象に残っているのは2000年の会見でのものだ。
その年の1月の歌会始の儀で、雅子さまは「七年(ななとせ)を みちびきたまふ 我が君と 語らひの時 重ねつつ来ぬ」と、陛下への深い愛情が伝わる歌を詠まれている。
その歌に関して会見で記者から質問され、陛下はこう回答されている。
「本人に見せてもらうまでは、あのような歌を詠んでいるということは私も知りませんでした。歌会始の当日は、少し恥ずかしいような気もいたしましたけれども、あのような気持ちを歌に詠んでくれたことを、大変うれしく思っています。
結婚して7年になりますけれども、この間、よき妻として、そして、よきパートナーとして、私を支えてくれていることを大変うれしく思っています。
数年後に歌を詠んだ時には、重ねてきた語らいが小言の言い合いになっていないようにしなければいけませんね」
(「平成12年皇太子殿下お誕生日に際し」から抜粋)
天皇陛下のユーモア
つげ氏は「重ねてきた語らいが小言の言い合い」という表現から、夫婦の「仲むつまじさ」が伝わってきたと同時に、天皇陛下のユーモアに感嘆したという
「この言葉の当時は結婚から7年間、仲良く暮らしてきた日常の中にはどこの夫婦でもそうであるように、ちょっとした意見の相違だったりとかが、天皇陛下と雅子さまにもきっとあったと思います。
夫婦の日常を明るく笑いに変えられた天皇陛下のユーモアのセンスが伝わってきた言葉ですよね。雅子さまも過去に記者会見(1998年)で、犬を飼っていることを話しながら『夫婦喧嘩は犬も食わぬ、と申しますけれども,喧嘩の種は割とよく拾って食べてくれるような気がいたします』と語られたこともあります」