大阪教育大付属池田小学校は、不審者対応訓練の後、反省会を行った(2020年)
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 校内に侵入した男が児童8人を殺害し、教員を含む15人を負傷させた大阪教育大学付属池田小学校事件から6月8日で23年がたつ。学校に不審者が侵入する事案は後を絶たず、6月4日には埼玉県所沢市の小学校に両手にはさみを持った女(22)が侵入した。池田小襲撃事件の教訓とは何か。

【写真】さすまたを駆使するある年の池田小の訓練。対策の本質とは

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咄嗟の対応力問われる

 5月27日、池田小では不審者対応訓練が行われた。眞田巧校長はこう打ち明ける。

「訓練の詳細が事前にわからないので、毎年、訓練が始まると『どうしよう、どうすべきか』と考えながらやっています」

 池田小の訓練は実戦さながらで、咄嗟の対応力を問われる。訓練の詳細な内容は、それを立案する学校安全主任など、ごく一部の教員にしか明かされない。校長といえど、例外ではない。

「不審者役の侵入経路や状況は毎回変わります。突然、校内にブザーが鳴り響いたり、教員が持つ笛の音だけが聞こえたりする。しかし、不審者役がどこで何をしているのかはまったくわからない」

 池田小に赴任して初めて訓練に参加する教員は、どう対応していいかわからず、戸惑ってしまうほどだ。

 不審者を見つけた教員は対策本部となる職員室に携帯電話などで状況を知らせる。本部は110番・119番通報や児童の避難の必要性を判断するとともに、複数の教員に現場に駆けつけるように指示を出す。場合によっては、「さすまた」などを使って不審者役の動きを封じ、児童を遠ざける。

複数のさすまたを使って不審者を取り押さえる訓練の様子。大池田小で不審者対応訓練 (2023年) 

関係者以外を学校に入れない

 今年の訓練の様子は、「教員らがさすまたを使って不審者の動きを押さえる動作などを確認した」「さすまたを使って不審者を制圧」などと報じられた。

 ただし、当の池田小が事件の教訓をもとに作成した危機管理マニュアル「学校安全の手引き」には、さすまたの使用についてほとんど触れられていない。

 不審者対策の本質は別にある。池田小が不審者対策として最も重視するのは、「学校の敷地内に関係者以外の人間を絶対に入れない」ことだ。

学校の防犯、「ここに注意」 枚岡署が教職員向け対策動画(付属池田小事件20年で、2023年、大阪府)
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