整形を希望する中高生が増えている。カウンセリングで気になるのは、同席する親の態度だという。高須クリニック名古屋院院長・高須幹弥さんが語る。AERA 2024年6月10日号より。
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整形をオープンにする著名人が増えるなど、近年整形へのハードルは下がっています。僕のクリニックにも、整形を希望する若い男女がたくさんカウンセリングに訪れます。
最近は自分が写った写真を持ってきて、「頬の膨らみや小鼻の広がり、笑ったときに目が細くなるのが嫌だ」と相談にくる方も増えました。ただ、写真というのは一瞬を切り取ったものなので、それがたまたま自分にとっていい顔じゃないことも多くあります。カウンセリングで整形の適応ではないと判断したときは、「写り方の練習をしましょう」と提案します。残念ながら、それで納得する方はほとんどいないのが現状です。
整形を希望する人の数は全年代で増えていますが、中高生の比率も高まっています。思春期は必要以上に自分の容姿に悩む時期でもあります。年を重ねるうちに少しずつ自分を客観視できるようになりますが、若いうちは難しい。何よりSNSの影響も感じています。インスタグラムを開けば、自分より容姿が優れていると感じる人の写真がたくさんあふれている。雲の上の存在である芸能人に憧れた時代と違い、SNSの人気者は身近な存在。だから劣等感を抱きやすいのかもしれません。
大人相手でもそうですが、未成年の場合は特に、その子にとって必要な整形なのか、リスクもきちんと説明したうえで検討を重ねます。18歳未満は保護者の同意が必要なので、カウンセリングにはほとんどの場合、親が同席します。そのとき気になるのは、「整形に反対しているけど、子どもに嫌われたくないから渋々来た」という親の多さです。自分でダメだと言えないから、僕に代わりに言ってほしいんですね。
「かっこよくなりたい」「美人になりたい」と思うのは仕方のないことだと僕は思います。人間の欲望なのでそれを抑えることはできない。ただ、必要以上に自分の容姿が醜いと思い込んで、日常生活に支障が出るのは問題です。
僕の患者さんには、醜形恐怖症や整形依存症で悩んでいる方もいます。精神科に通院して、投薬治療を受けている方もいます。過度なルッキズムにとらわれていると感じたときは、整形ではなく認知行動療法を受けるという選択肢があることを知っておいてください。
(構成 編集部・福井しほ)
※AERA 2024年6月10日号