弛緩した場の空気を一変させた語り出し

 そこで、私はひとり違う冒頭にしていました。

 司会の紹介を受けた直後、名前を名乗らず、キーワードを並べて語り始めます。「その意味を知りたい」と聞き手に先の話に集中してもらえる冒頭です。

 ひとしきり会社概要を伝えたところで、「申し遅れましたが、私、DeNA人事担当の千葉です」と、ようやく自己紹介を挟む形式でした。

 このプレゼンの冒頭はとにかく目立ちました。そして、語り出した瞬間、その場の空気が変わり、多くの学生がすぐに視線を上げてくれました。

 結果として、合同説明会全体の中でもっとも印象に残ったプレゼンに選ばれることも多くありました。

大事なのは「どう話し始めるか」をきちんと考えること

 冒頭の無遠慮は、私が遭遇した経験だけに言える話ではないはずです。

 イベント、大きなプレゼン、スピーチなど、さまざまな場面に共通しているのではないでしょうか。

 このような話をすると、「では、よくある冒頭はダメなのか」と違和感を示す人もいますが、そんなことはありません。

 状況によって、むしろシンプルかつ、慣れた言い回しを使ったほうが効果的な場面はあります。

 私が言いたいのは、無意識に前例にならってなんとなく冒頭を構築するのではなく、意識的に目的達成のための冒頭を自己選択してほしい、ということなのです。

(千葉佳織/株式会社カエカ代表、スピーチライター)

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