「生きた言葉」を探して
ここで、大切にしている言葉をご紹介させてください。
「生きた言葉を探してください」
TBSの大先輩である長峰由紀アナウンサーからいただいたメッセージです。長峰さんはすでにTBSは退社されましたが、私にとっては恩師と言える方です。
アナウンス研修を担当してくださり、日曜日のお昼の『JNNニュース』という報道番組もご一緒させていただきました。
その番組を私が卒業するとき、いただいたお手紙にこの言葉が書いてありました。
アナウンサーは、ニュース原稿というバトンを受け取り、ニュースを視聴者に届けるアンカーの役割を担います。
ニュース原稿は、記者やディレクターが時間をかけて取材した内容を限られた時間の中で視聴者に伝えるためにまとめたものですが、それを読むだけでは「伝える」ことはできません。もちろんうまく読むテクニックはありますが、大切なのはニュースに向き合う気持ちだ、と教えていただきました。
原稿に書かれた言葉の背景を想像し、時には言葉に想いをのせることも必要です。
ニュースに寄り添い、視聴者に寄り添い、「生きた言葉」にしなければいけないなと痛感しました。
「生きた言葉」を探す――。私の胸に深く刺さった言葉であり、インタビューや取材を通していつも考えていることです。
取材現場で何を聞き、何を感じ、どんな言葉をどう伝えるのか。難しい表現でなくとも、「生きた言葉」は相手に届くのだと思います。
同じ瞬間は二度と訪れないのですから、一瞬一瞬、目の前の人との対話を楽しみながら、「生きた言葉」を探し続けます。
この文章を書いている間にも、ワクワクしてきました。私の前に広がる世界は、まだまだ知らないことばかりです。恐れず一歩を踏み出してみようと思います。