そしてここへ来て浮上してきたのがドラフト5位ルーキーの又木鉄平だ。東京情報大時代から評判のサウスポーだったが、社会人で少し停滞し、3年目にしてようやくプロ入りをつかんだ。二軍ではここまで8試合に登板し(先発は7試合)、1勝2敗ながら防御率は2.75と安定した成績を残しており、6月1日の西武戦で一軍初先発が予想されている。ストレートは140キロ台中盤と驚くようなスピードがあるわけではないが、力みのないフォームで楽に腕を振ることができ、サウスポーらしいボールの角度が光る。大型左腕でありながら、制球力が高いのも魅力だ。又木にとっては大きなチャンスだけに、西武戦で好投を見せて先発ローテーション定着を目指したい。
ただその他の投手となると2021年にドラフト2位で入団した山田龍聖は二軍でもなかなか結果を残すことができず、即戦力として期待が高かった今年のドラフト2位ルーキーの森田駿哉は怪我で長期離脱となっており、候補自体が少ない印象は否めない。左右にこだわらず力のある投手がいれば良いのではないかという意見もあるが、やはり長いシーズンを考えると左右のバランスも重要である。今年のドラフト候補では金丸夢斗(関西大)という左投手の目玉がいるが、このままの状態が続くようであれば競合覚悟で金丸に入札するということも検討する必要がありそうだ。(文・西尾典文)
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。