今季がプロ入り3年目の阪神・豊田寛(写真提供・阪神タイガース)
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 開幕から約2カ月が経過した今年のプロ野球。セ・パ両リーグとも徐々に上位と下位の差が開きつつあるが、残り試合を考えるとまだまだ逆転が起こる可能性はあるだろう。優勝争い、クライマックスシリーズ(CS)進出争いにおいては、シーズン中に加入した選手が重要な役割を果たすケースもある。近年は外国人選手が苦戦することが多く、そうなると有効な戦力補強の手段としてはトレードとなり、水面下では既に動き出している球団もあるはずだ。そんな今シーズン途中の補強として狙い目の選手としては誰がいるのだろうか。(文中の成績はすべて5月30日終了時点)

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 余剰戦力としてはやはり上位チームの方が多くなるが、パ・リーグ首位を走るソフトバンクでまず名前を挙げたいのがリチャードだ。2021年には34試合で7本塁打を放つなど大砲候補としての片鱗を見せたが、その後はなかなか打撃が安定せずに一軍定着を果たせずにいる。今年は山川穂高の加入もあって立場はさらに苦しくなり、4月30日にようやく一軍昇格を果たしたものの、ここまで目立った成績を残すことはできていない。

 高校から育成ドラフトで入団したこともあって若手というイメージが強いが、今年で25歳という年齢を考えると残されたチャンスは決して多くはないはずだ。ソフトバンクとしても右の強打者タイプは貴重なだけに簡単に手放すことはなさそうだが、井上朋也、正木智也、広瀬隆太と大砲候補を続けてドラフトで指名していることから、良い条件の交換要員がいれば動く可能性もあるのではないだろうか。リチャード本人にとっても環境が変わることで、チャンスも増えて才能が開花することも期待できる。得点力不足に悩む球団にとっては、狙い目の選手であることは間違いない。

 現在ソフトバンクに次ぐパ・リーグ2位と好調な日本ハムもトレードが多い球団だけに、条件次第で動く可能性も考えられる。そんな日本ハムで他球団が狙い目の選手と言えるのが左腕の上原健太だ。昨年はキャリアハイとなる101回1/3を投げて4勝7敗ながら防御率2.75と結果を残した。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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広島でくすぶる甲子園のスターも狙い目か