ただ、1試合平均得点0.9は最下層グループ。ポゼッション重視の戦い方は浸透しているが、20チーム中19位のシュート決定力7.2というフィニッシュの精度とゴール前の迫力不足が課題だ。宇佐美とコンビを組む坂本一彩、怪我から復帰した山田康太、あるいはイッサム・ジェバリに加え、パワフルドリブルが相手の脅威になっているウェルトン、圧巻のスピードを持つ山下諒也のウイング勢の得点力アップが鍵を握る。また、三浦弦太が長期離脱となったCBの層の薄さは今後の戦いへ向けて気がかりな部分。夏の補強が必要なポジションだろう。

 5位の名古屋グランパスは、勝点26(8勝2分け6敗)。開幕3連敗と出遅れながら、第4節から9節までの6試合を5勝1分けで盛り返し、その後の停滞を乗り越えて直近3試合を2勝1分けでトップ5入りするところまで順位を上げた。守備では三國ケネディエブス、ハ・チャンレの2人が試合を重ねる毎に安定感を増したことが大きく、中盤では森島司が新司令塔としタクトを振るい、大卒1年目のドリブラー・倍井謙が攻撃にアクセントを加えている。

 しかし、平均ボール支配率46.1%は下から4番目の低さで、1試合平均シュート数8.8は20チーム中、最も少ない数字だ。リーグ2位のシュート決定率13.6%が5位浮上の理由だと言えるが、今後はシュート数、チャンスの数を増やして行く必要がある。約1カ月半の故障離脱から戻ってきたキャスパー・ユンカーのコンディションが100%になるのを待ちながら、攻撃のバリエーションを増やしたいところだ。

 6位以下のチームを見ると、特に勝点24で並ぶ浦和レッズ、セレッソ大阪、消化試合が1試合少ない状態で勝点23のサンフレッチェ広島までは大きな差がなく、すぐにでもトップ5入りできる実力を持つチームだ。また、ACLを終えてリーグ戦に集中できる横浜F・マリノスにも注目で、川崎フロンターレの巻き返しも待たれる。中位陣は、まだまだ1試合毎に順位が大きく入れ替わる“団子状態”が続いており、3連勝でもすれば、一気に上位争いに加わることも可能だ。梅雨入りから夏到来の時期を、いかにして戦うか。いよいよチームとしての真価が問われることになる。(文・三和直樹)

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