眠れない→体がしんどい→食欲がない→夕飯しか食べない……という悪循環も不登校の原因のひとつかもしれませんが、多くの場合、不登校にはいろいろなことが複合的に絡み合っています
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 3人の子どもの不登校を経験し、不登校の子どもやその親の支援、講演活動などを続ける村上好(よし)さんの連載「不登校の『出口』戦略」。今回のテーマは「不登校の原因が『無気力・不安』って本当ですか?」です。

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 前回の記事では、学校に行きたくないという子どもの頭の中で起こっていることについて、お話ししました。 今回は不登校の原因について考えてみたいと思います。

 2022年から、さまざまな場所で開かれる講演会などを通して、不登校の現状についてお話をさせていただいていますが、その時に必ずあるのが「不登校の原因ってなんでしょうか?」という質問です。

 不登校問題は度々ニュースなどでも取り上げられており調査も行われています。令和4年度の文部科学省の調査では、不登校の理由のトップとして挙げられているのが「無気力・不安」。51.8%を占めるとされています。これを見て、親としてどのような印象を受けますか?少なくとも私は、「もうどうしようもないのかしら……」と悲観してしまうような気がします。

 不登校の原因は本当に、「無気力・不安」なのでしょうか。 無気力と不安を同じくくりにしているところにも少し疑問は残りますが、そこはいったん置いておきましょう。

 私が危惧するのは、「無気力」という言葉からは本人のやる気がないような印象を受け、原因は本人にあると受け取られることで、対策が「根性論」や「やる気を出させるための対症療法」的なものになってしまわないか、ということです。親御さんが「うちの子が無気力になってしまったのは私の子育てのせい」と思ってしまったり、「あなたが無気力なのはやる気の問題なんだから頑張りなさい!」と子どもをせめてしまったりする要因にならないでしょうか。

 中学生と会話をしていると、「だるい」「めんどくさい」という子は多いものの、「でもやらないとダメだよなあ」ということはしっかり意識の中にあるようです。それでも、体がしんどくてできないんだ、という子もいますので、そういう子には、まず食事の状況を聞いていきます。「そう言えばさ、昨日の夜って何食べたの?」と尋ねると、大体は教えてくれます。

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村上 好

村上 好

むらかみ・よし/オカンの駆け込み寺代表、JAMネットワーク代表、「ことばキャンプ」認定講師、「まなびのば」代表、ひきこもり不登校支援人材協会認定相談指導員、聖学院中学校高等学校教育相談支援員、中医学養生士、食養生コーディネーター。大手私鉄会社で旅行業、ホテルの営業などを経験後、国際会議運営会社でAPECなど国際会議運営に携わり世界中の人々とかかわるうちに日本の教育のあり方に疑問を持つようになり、自身の子どもが通う学校でPTA改革に着手。2015年に教育団体「まなびのば」を立ち上げる。その後、長男が不登校になった際に出合った「ことばキャンプ」に感銘を受け、このプログラムを提供するNPO法人JAMネットワークの講師を経て2024年代表に就任。2019年からは、中高一貫校で教育相談支援員として不登校のサポートに従事。また不登校を「ことば」「食事」「住環境」の観点からサポートするオカンの駆け込み寺を開設し、不登校解決の支援や講演活動をしている。

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