このように、不登校にはいろいろなことが複合的に絡み合っていますから、何か明白な理由がある場合以外は一つずつひもといていくしかないのです。私は、「不登校の原因は何なのでしょう?」と質問されたら「あなたは何だと思いますか?」と質問をお返しすることにしています。

 子どもたちが緊張するような社会を作っているのは間違いなく大人です。不登校の問題は、社会の問題として考えてほしいと思います。

 人より良い成績を取らないといい学校に行けず、いい大学に入れず、いい会社に就職できないと言われ、塾や習い事、成績表などで常に評価され、人と比べられる毎日。これでは体や心が常に緊張状態になってしまうのも当然です。

 いまの社会は、子どもたちがのびのびと育つのに適した構造になっているでしょうか。本当に必要な学びとは?食べ物もそうですが、子育てにおいても、子どもに何をさせるかより何をさせないかのほうが大事なのかもしれません。

 不安や心配事などのストレスが大きな原因になっていて、それを話すのが難しければ、紙に書き出すのもいい方法です。頭の中も整理されますし、人には言えないような内容も書けばスッキリ!吐き出すことで、自分自身の不安やストレスを俯瞰(ふかん)してみることもできます。書いた後は、ビリビリに破ってみると、この音も案外爽快。ごみ箱にポイッと捨てたら、かなり楽になるはずです。

 もう一つ。お子さんの体が硬くなっていないかどうか確かめるために、肩や手を定期的にマッサージしてあげることをお勧めします。不登校のお子さんへのアプローチは無限ですから、お子さんにあったやり方を見つけるために、いろいろと試してみてくださいね。

 次回は6月18日配信。「不登校は子育てやさまざまなことを振り返る絶好のチャンス!」というテーマでお話しさせていただきます。

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村上 好

村上 好

むらかみ・よし/オカンの駆け込み寺代表、JAMネットワーク代表、「ことばキャンプ」認定講師、「まなびのば」代表、ひきこもり不登校支援人材協会認定相談指導員、聖学院中学校高等学校教育相談支援員、中医学養生士、食養生コーディネーター。大手私鉄会社で旅行業、ホテルの営業などを経験後、国際会議運営会社でAPECなど国際会議運営に携わり世界中の人々とかかわるうちに日本の教育のあり方に疑問を持つようになり、自身の子どもが通う学校でPTA改革に着手。2015年に教育団体「まなびのば」を立ち上げる。その後、長男が不登校になった際に出合った「ことばキャンプ」に感銘を受け、このプログラムを提供するNPO法人JAMネットワークの講師を経て2024年代表に就任。2019年からは、中高一貫校で教育相談支援員として不登校のサポートに従事。また不登校を「ことば」「食事」「住環境」の観点からサポートするオカンの駆け込み寺を開設し、不登校解決の支援や講演活動をしている。

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