大きな二次被害が生じ
その一方で、上述した南城市長のセクハラ疑惑は、女性が市側にセクハラを訴えてから1年半が経とうというのに、第三者委員会さえ立ち上がらない。それどころかSNSでの誹謗(ひぼう)中傷が止まらなくなった。古謝市長も女性や家族の個人情報をSNSで書き連ね非難したうえ、市議会本会議で公表するなどした。
女性は筆者の取材に「嘘ばかりで酷すぎる。外に出るのも怖く身の危険を感じている」と声を震わせた。女性の代理人を務める加藤裕弁護士は「(被害者に)大きな二次被害が生じていることは、昨今報じられる首長のハラスメント事案とは明確に異なる点」と話す。
「今回、古謝市長の対応が異様なのは、(原告女性にとって)人格攻撃になるようなことを言ってくること。セクハラがないのであればそれを否定して淡々と争うのが本来のはず。セクハラがあったかなかったか以前の問題として、それはやるべきことではない」(加藤弁護士)
この問題を重く見た市議ら7人は2023年12月、非正規や業務委託を含むすべての市職員にアンケートを実施。市役所駐車場などで出勤する際に配布し、ウェブで回答してもらった。73件の回答が集まり、市長や上司からハラスメントを受けたとの回答は22件。見聞きしたとの回答は34件だった。その中には「(自分が)ディープキスをされ、他にされた人を見聞きした」との記述もあった。自由記述欄には複数人から「上司は市長が決めた人。相談するとバラされるんじゃないかと怖くてたまらなかった」などと被害を明かせない苦しみが綴(つづ)られていた。
上司が市長の隣へ促す
さらに、筆者の取材に原告女性とは別の、現役市職員の女性も、市長からセクハラを受ける恐怖を明かしてくれた。
「キスをされました。舌まで入れてこられて……。体が固まってしまい、やめてくださいとも言えなかった。市長から離れるのがやっとでした。すぐに口をゆすぎに行きました。本当に怖かったです。夫に話したらすごく怒って『一緒に声を上げよう』と言ってくれました。でも私が止めたんです。そんなことをしたら本当に(沖縄に)住めなくなるからって泣いて止めました」