1988年に開場した東京ドームは老朽化なども指摘され、巨人は本拠地の“更新時期”に来ているのかもしれないが、球団の歴史を彩ってきた名プレイヤーが戦った場所を簡単に去ってしまうのは、寂しくもある。
また、再開発事業の目玉となる5万人規模の新スタジアムが野球専用球場ではないことも築地移転を躊躇する理由に挙げられるだろう。新スタジアムはサッカーなど各種スポーツや音楽イベントなどにも対応可能な多機能型マルチスタジアムを想定しているという。
東京ドームも様々な用途で使用されるが、あくまでも野球専用。名門球団が野球専用でないスタジアムを本拠地とすることに反対の声も少なくない。先述したヤンキー・スタジアムでは、2015年に米国のプロサッカーリーグ(MLS)の試合が行われただけで、「もはやメジャーリーグの聖地ではなくなった」とネガティブな声がでたほどだ。
「(山口オーナーは)築地を使ってみたいとは語ったが、本拠地を完全に移転することに関しては乗り気には見えなかった。球界一の伝統球団の本拠地が他競技との兼用はどうなのか、というところだろう」(巨人担当記者)
「NPBを牽引してきた老舗としての意地もあるでしょう。ただ、同時にビジネス的側面からは利益を出して生き残る必要性もある。巨人と親会社の両方で重職に就く山口オーナーも悩みが深いはず」(在京テレビ局スポーツ担当者)
東京ドームの老朽化についての指摘は今に始まったことではない。部分的な改修は行なっているが、遠くない未来に向けて抜本的な対応に迫られているのは確か。巨人としては立地も素晴らしい東京ドームのある場所に、エスコンフィールド北海道のような天然芝の野球専門球場が望まれているが……。
「(仮に東京ドームが建て替えとなった場合でも)東京という地価の高い場所で野球専用球場で採算をとるのは難しいかもしれない。どうしても野球以外の様々なイベントで稼働率を上げる必要もあり現実的には人工芝の多目的な施設になるのではないでしょうか」(大手広告代理店関係者)