2024年度になり、大学の高校別合格者数もほぼ出揃ってきた。受験最高峰である、東大の科類別の合格者の様相をランキングでみていく。今回は、最も定員数が多い理科Ⅰ類の高校別合格者数で並べてみた。
【東大合格者ランキング】理科Ⅰ類に合格者が多い高校、気になるトップは
東大理科Ⅰ類は、主に理工学系の学問を扱う科類で、工学部と理学部に多くの学生が進学する。定員も東大では最も多く、理系の多い有名進学校の受験生を多く集める傾向にある。科類別に並べると、どういう傾向が見えてくるのか。なお、東大の推薦入試は科類ではなく学部別で合格者を出しているため、本ランキングは一般入試の合格者のみを対象とした。
トップ3は、1位が開成(東京)の68人、2位が聖光学院(神奈川)の48人、3位が灘(兵庫)の43人と続いた。開成が聖光学院に1.4倍も差を付けており、開成の一人勝ちぶりがうかがえる。東大合格者数全体を見ても、開成は43年連続トップの座に居続けており、理科Ⅰ類の合格者がそれを下支えしている構図が見て取れる。
4位は筑波大附駒場(東京)の41人、5位は渋谷教育学園幕張(千葉)の35人。6位が東大寺学園(奈良)と西大和学園(奈良)の24人、8位が麻布(東京)と栄光学園(神奈川)の23人、10位が東海(愛知)の22人と続いた。
10位までを見ると、5位の渋谷教育学園幕張と6位の西大和学園以外は全て中高一貫の男子校という点が特徴と言える。さらに、4位の筑波大附駒場以外は全て私立となった。
理科Ⅰ類は近年AIなどの情報産業が注目されている背景もあり、難化が進んでいる。その程度は、「理科Ⅰ類に合格できる学力があれば、国立大の医学部医学科にも合格できる」と言われているほどだ。そして理科Ⅰ類の今年度の定員は1108人であり、この数は全体の3分の1強を占める。つまり、理科Ⅰ類は東大全体の難化を象徴する科類とも言えるのだ。
こうした特徴からか、上位10校の顔ぶれは日本の東西を代表する超進学校が並んだ形となった。一方で、理科Ⅰ類の女子合格者の数は、24年度入試結果を見ても、1119人中わずか94人しかいない。割合にすると、8.4%の女性比率だ。他の科類の女性比率はおおむね20%以上あり、突出して少ない割合となっている。
まさに理科Ⅰ類は、東大生の3人に1人を占めながら、東大に女子が少ないボトルネックとなっている科類でもあるのだ。いかにして女子の受験者を増やしていくかが、今後の課題と言えるだろう。
(ライター・河嶌太郎)