渋谷教育学園幕張中学校・高等学校では、6年間を通して学園長による講話の時間がある。自由や創造力などテーマは多岐にわたる(写真:渋谷教育学園幕張中学校・高等学校提供)
渋谷教育学園幕張中学校・高等学校では、6年間を通して学園長による講話の時間がある。自由や創造力などテーマは多岐にわたる(写真:渋谷教育学園幕張中学校・高等学校提供)
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 22日放送の「東大王」(TBS・毎週水曜午後7時)は「ワールド極限ミステリー」との合体SPとして、羽田空港&JALに潜入する。さらに新コーナー「THE受験王」で超難問の中学入試問題に挑戦。今回は、東大合格者数全国トップ10常連の「渋谷教育学園幕張中学校」の入試問題にチャレンジし、出演者一同大苦戦! そんな渋幕に関する過去の記事を振り返る。(「AERA dot.」2023年7月16日配信の記事を再編集したものです。本文中の年齢等は配信当時)

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 先回りして子どもを手助けするのは親の役割ではあるが、あまりにも過保護すぎると失敗経験がない分、大人になってから苦労することになる。そうはいっても、失敗をさせてしまうのは、かわいそうだと感じるのが親心だろう。では、子どもが「上手に失敗」し、逆境力を身につけるにはどうすればいいのか。渋谷教育学園幕張中学校・高等学校と灘中学校・高等学校の教育方針から探った。AERA 2023年7月17日号の記事を紹介する。

 子どもには逆境に強く、しなやかに育ってほしい。多くの親はきっとそう願うだろう。だが、痛い思いもしてほしくない。「上手に失敗」して、逆境力を養う方法はあるのだろうか。

 千葉県にある渋谷教育学園幕張中学校・高等学校は、子どもの自立心を刺激する仕組みをいたるところにしかけている。

「自調自考」をかかげる同校では、細かな校則はなし。授業の開始や終わりを告げるチャイムもなし。教員が手取り足取り教えるのではなく、生徒が自分で考えることをよしとする。

 授業の時間が近づけば、生徒は自分たちの席につく。なかには教科書の準備が間に合わず、慌ててロッカーに取りに行く生徒もいる。

 だが、教員はお構いなしで授業を始める。怒ったり、その生徒を待ったりはしない。

 同校の田村聡明(としあき)校長はこう説明する。

「なぜなら、準備をしている他の生徒の邪魔をするのはよくない。最初から授業を受けられないのはかわいそうだけど、そこは準備不足だという解釈です」

 ただし、生徒やクラスの雰囲気を見て、と付け加える。

「事前に、『そういうふうにやっていくから、準備をしてきちんと待っていてください』と生徒に伝えるという作業も大事です。意地悪されたんじゃないかといった勘違いが起きれば、不信感につながってしまう。丁寧にやっていく必要があります」

 人間だから、できるときもあれば、できないときもある。それは大人も子どもも同じ。小さな失敗やミスをするたび、自分で考え修正していくことが、子どもの成長にもつながっていく。

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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