新人の指導をする諸沢さん(撮影/小山歩)

ひとり暮らしをしない理由

 店舗のバックヤードのようなところで取材を始めると、諸沢さんは表情をクルクル変えながら、楽しそうに語る。お酒を飲むのが好きで、特に汗をかいた後のビールは最高だと喜々として話す姿は、「社長=年配のカタブツ」という記者の中で凝り固まった考え方を一変させた。

 いまだ実家暮らしなのも、理由があるらしい。前社長の西牧大輔さん(現会長)からは「社長になったのだから都内で自宅兼事務所という形でひとり暮らしをすればいい」と提案されたというが、諸沢さんは固辞したという。

「仕事に集中したいんです。ひとり暮らしはしてみたいとは思いますが、慣れないことをして自分のメンタルコントロールなどがおろそかになって、人に迷惑をかけることはしたくないんです」

 取材をしてすぐに感じたことだが、諸沢さんの話は聞いていて飽きない。話のテンポや話題の興味の引き方から、コミュニケーション能力が異様に高いことがわかる。諸沢さんは19歳のときに、全国の店舗から選ばれる接客スペシャリストの称号「接客スター」を最年少で獲得しているが、わずかな時間でも相手の心をつかめるのは、やはり才能なのだろう。

 22歳で社長になるという“偉業”について、周囲の友人たちはどう思っているのか。

「やっぱり、最初はあまり友達にも言えなかったんですよね。でも、本当に仲の良い友達で集まった時に、今後の進路のこと聞かれたので『実は、社長になることにしたんだよね』って言ったら、皆、びっくりしていました(笑)」

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トップダウン型の社長ではない