大阪の春季大会は“二強”を撃破した大阪学院大高が優勝
この記事の写真をすべて見る

 5月に入り、全国各地で行われている高校野球の春季大会も佳境を迎えている。直接甲子園出場には関わる大会ではなく、入学したばかりの1年生を試しているチームもあるが、夏のシード権にかかわってくる地域も多く、そういう意味では気の抜けない大会とも言えるだろう。

【写真特集】「伝説の女子マネ」も登場! 増刊『甲子園』の表紙を飾ったチアたち

 そんな中で話題となっているのが大阪だ。近年は大阪桐蔭と履正社が完全な二強となっており、過去10年間でこの2校以外に春夏の甲子園に出場したのは大阪偕星(2015年夏)、近大付(2018年夏)、金光大阪(2022年春)の3校しかない。しかも2018年夏は100回記念大会で南北に分かれており、北大阪からは大阪桐蔭が出場。2022年春の金光大阪も大阪桐蔭と揃っての出場であり、純粋に二強以外が勝ち上がったのは2015年夏の大阪偕星だけと言える。

 しかしこの春は大阪学院大高が4回戦で履正社、準々決勝で大阪桐蔭と二強を破り、その勢いのまま初優勝を果たしたのだ。大阪学院大高と言えばかつて阪神などで活躍した江夏豊の母校として知られており、1996年春にはセンバツでベスト8にも進出しているが、甲子園出場はこの1回しかない。近年も2018年夏の北大阪大会で決勝まで勝ち進んだものの、大阪桐蔭を相手に2対23という大敗を喫している。ところが昨年春に大阪公立大で実績を残した辻盛英一監督が就任して強化を図ると、今年はショートの今坂幸暉がドラフト候補として注目を集めるなど、一気に力をつけて二強を破ったのだ。

 その大阪学院大高に決勝で敗れた興国も昨年秋は近畿大会に出場しており、近年力をつけてきたチームだ。監督を務めるのは智弁和歌山で1997年夏の甲子園優勝を果たし、慶応大を経てドラフト1位でロッテに入団した喜多隆志氏で、2018年の就任以来着実に力をつけている印象を受ける。興国は過去7度の甲子園出場があり、1968年夏には全国制覇も達成しているが、最近はサッカーの強豪というイメージとなっている。そんな中で甲子園出場を果たせば、大きな話題となることは間違いないだろう。 準決勝で大阪学院大高に敗れた大商大高も2019年春には上田大河(現・西武)を擁して優勝を果たしている。東海大大阪仰星も甲子園からは遠ざかっているが、コンスタントに上位進出を果たしており、二強に続く“第二グループ”という印象は強い。

次のページ
今年の春の大阪大会はレベル高くなかった?