政治刷新車座対話で党員らの言葉にメモを取りながら耳を傾ける岸田文雄首相

なぜ自民党は劣化したのか

 支持率が上昇したとはいえ、四捨五入しても30%。依然として低空飛行を続けていることは間違いない。さらに同じJNNの世論調査では、「次の衆院選で立憲民主党などによる政権交代」を望むという回答は6ポイント増えて48%に達した。伊藤氏はその背景をこう分析する。

自民党裏金事件ついて、岸田首相は衆院補選で3連敗するまで、国民の声に動揺する気配すらありませんでした。1988年にリクルート事件が起きた時、自民党はすぐに危機意識を持ち、迅速に動きました。特に後藤田正晴さんや伊東正義さんら大物政治家が党利党略を離れ、この国をどうするかという大局的な見地から政治改革を実現させたのです。あの時の議論は常に自民党がリードしていましたが、今の自民党は大物議員も新人議員も何も発言しません。どうして自民党はこれほど劣化したのか。やはり安倍一強の余波なのでしょう。岸田さんも安倍さんの人気を当て込み、それだけで選挙に勝ってきた。党の幹部クラスも政治家として成長する機会を失い、裏金事件のような大問題が起きても何をしたらいいのか分からないのだと思います」

 結局、自民党議員が関心を持っているのは、今年9月の総裁選前に「岸田首相が衆院を解散するかどうか」だけなのだろう。

「解散さえなければ、9月に新しい総裁を選べばいいと考えているのでしょう。総理総裁が変われば、多少は支持率が回復します。衆議院議員の任期は来年の10月までですが、とにかく総選挙は後回しにして、有権者の不満が沈静化するのを待つというのが自民党の本音だと思います。たとえ総選挙に追い込まれ、敗退したとしても、いざとなったら維新とでも連立を組んで政権を維持できると考えているはずです」(同・伊藤氏)

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