メンタルが不調なときに便秘や肌荒れ、生理痛、アレルギーなどを引き起こすのもこのためです。一方で、便秘や下痢を治そうと腸内環境を整えると、日ごろから悩まされていたうつの症状まで改善したというケースが珍しくありません。

 私たちは食事によって栄養分を摂っていますが、それを吸収して血液を作る働きを担っているのが腸管です。腸が『第二の脳』ともいわれるように、腸内環境を整えることが、ひいては自律神経の乱れを整えることにもなるのです。

日本人は食物繊維が不足しがち

 腸の働きを改善させ、腸内環境を良好な状態に保つためには、食物繊維の摂取が好ましいでしょう。食物繊維は人間の消化酵素では消化されにくい栄養素の総称であり、大まかには「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」のふたつに分類されます。

 不溶性食物繊維は、腸の中で水分や老廃物を吸収して膨らむため、便のかさが増し、ぜんどう運動を促す効果があります。ただし、便秘の場合は便が硬くなりすぎてしまうので、あまり摂りすぎないよう気をつけましょう。

 水溶性食物繊維は、水分を含むことでゲル状になり、水分量も増えることで便を柔らかく、排出しやすい状態にしてくれます。便秘のときには意識して摂取するとよいでしょう。

 そもそも日本人の場合は、一日の食物繊維の摂取量自体が不足しているといわれています。そのため、あまり不溶性や水溶性といったことにはこだわらず、ひとまず食物繊維が豊富な食品の摂取を心がけたほうがいいかもしれません。

『食物繊維が豊富なおもな食品』をイラストにしたので、参考にしてみてください。

食物繊維が豊富なおもな食品
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小林弘幸

小林弘幸

小林弘幸(こばやし・ひろゆき) 順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。1987年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科などの勤務を経て順天堂大学小児科講師、助教授を歴任。腸と自律神経研究の第一人者。『医者が考案した「長生きみそ汁」』など著書多数。テレビなどメディア出演も多数。

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