思い出のコーナーは、定期的に飾るものを取り換えてもいい

 現在の住まいが快適で、とても気に入っているのであれば、無理に住まいを変えようとする必要はなく、そのまま住み続けるのも一つの選択肢。人生や暮らし方を見直したうえで、必要なお手入れや、ちょっとしたリフォームを行うといい。その意味で、50歳前後でやっておきたいのは「家の中のモノと向き合う」ことと、「ながら作業ができる住まいにする」ことだ。

 家の中のモノがすっきり片づいていると、快適に気持ちよく暮らすことができる。50歳からの人生を幸せにするために、まずは家の中のモノと向き合いたい。

 すっきり片づかない大きな原因の一つは、モノの多さ。いらなくなったモノは捨て、必要なモノや好きなモノだけを残す。ライフステージが変わり、これまでとは違う暮らし、人生を送ろうとするのだから、必要でなくなるモノも多いはずだ。住まいの中の主役は、そこに住まう人。モノにスペースを占領されてしまうのはもったいない。

 住み替えの際の新築やリフォームのことを考えても、モノを置くスペースにかけるコストは、できるだけ削減したい。後々に、“実家(親)のモノの片づけ”で子どもたちに苦労をさせないためにも、モノはできるだけ減らすこと。「いる・いらない」を判断したり、捨てたりするのには、思いのほか時間とエネルギーが必要なので、50歳代の早いうちから着手しておくといい。

 子どもが巣立った後も、子ども部屋とその中のモノをそのままにしている家は多くある。子ども部屋が倉庫と化し、さまざまなモノがさらに詰め込まれ、ますますモノが増えるという事態も考えられる。ここは一つ、早めに整理・処分することだ。

 本来は、子どもが巣立つ前に、本人と相談して取捨選択しておくのが理想的。思い出のモノは厳選して、思い出のコーナーに飾る、写真におさめて現物は処分するというのも一案だ。子どもが帰省したときの寝泊りは、子ども部屋ではなく、例えばリビングにつながる和室などを考えるのがいい。モノがなくなってすっきりとした子ども部屋は、自分のこれからの人生のために、ぜひ有効活用してほしい。

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「動線」が住まいの快適さの鍵を握る