これからの人生や暮らしの希望が見えてきたら、それらに連動させて住まいを考えていく。大切なのは、「どんな人生、暮らしにしたいか。それらをかなえるには、どんな住まいが必要か」という視点。希望の人生や暮らしをかなえるためには、まず住まいを変えてしまうのがかしこい方法だ。
人の意識や行動は、自分の意思ではなかなか変えられないが、おかれている環境を変えてしまえば、それに合わせて意識や行動も変わっていく。孟子の言葉に「居は気を移す」とあるように、人は住む環境によって自然に感化されるのだ。
現在の住まいをどのように変えたいか、と問われれば、「駅や商店街などに近い便利なところに住みたい」「自然環境のなかで暮らしたい」など、立地も含めて考えるだろう。思い切って変えたいのなら、住み替えや規模の大きなリフォームが選択肢ということになる。
住み替えの場合は、現在の土地で建て替えるか、引っ越しをするか。引っ越し先は新築か中古か。中古をリフォームするという手も考えられるだろう。一戸建てにするかマンションにするか、持ち家か賃貸かというのも大切なポイントだ。
50歳代の時点から、老化や病気などで体が不自由になったときのことを考え、住まいに具体的な対策をしておこうとする人も少なくないが、今はまだアクティブに行動し自己実現を果たせるようにすることが最優先。高齢期に向けた住まいの変更、実際の体の状態に即した設備の導入などは、実際に健康に不安を感じ始める70歳代ぐらいから検討するといい。
50歳前後では、高齢期に備えて柔軟に変更できるようなプランや仕様などを考えておくと安心。そのために、最期のときをどこでどのように過ごしたいかは、今からイメージしておきたい。特に、自宅か高齢者施設かの選択は、これからの人生や住まいの計画において重要になる。