北陸新幹線が敦賀まで延伸し、福井がぐっと近くなった。新設された駅も魅力的で、地元出身のAKB48メンバーも応援する。だが、特急廃止に伴う関西との「分断」や、二次交通の問題もある。AERA 2024年4月29日-5月6日合併号より。
* * *
青にゴールドのラインがまぶしい「かがやき」が、福井にやってきた。
「待ちに待ってました。福井の発展にもつながると思います」
と、都内に住む女性(30)は笑顔で話す。実家は福井市にあり、これまでは帰省する時は、北陸新幹線で金沢まで行き、乗り換えていた。それが新幹線1本で、帰れるようになったのが、何より楽だという。
「元日の能登半島地震で石川と福井も被害を受けました。新幹線の延伸で、復興の後押しにもなってほしいです」
関西の奥座敷が身近に
北陸4県のうち、これまで唯一新幹線が通っていなかった福井県。それが3月16日、日本海に面する福井県南部の港町、敦賀まで乗り入れたのだ。開業した金沢-敦賀間(125キロ)には、小松、加賀温泉、芦原(あわら)温泉、福井、越前たけふ、敦賀──の六つの新幹線駅が新設された。
北陸新幹線は1997年10月、高崎-長野間で開業し、2015年3月に金沢まで延びた。今度は2度目の延伸となる。
新幹線ができると、時間と距離が縮まる。
最速の「かがやき」の場合、東京-福井間(約530キロ)は2時間51分で、延伸前の金沢乗り換えより36分短縮された。東京-敦賀間(約580キロ)は50分短縮となり3時間8分となった。
金沢-敦賀間は車窓が楽しい区間だ。トンネルが少なく、全体の約7割が橋梁や高架橋。金沢から敦賀へ向かう時、進行方向左側の車窓に目をやると、天気がいい日は遠くに霊峰・白山の絶景を眺められる。
鉄道評論家の川島令三(りょうぞう)さんは、「延伸によって首都圏から多くの人が福井に来る」としてこう話す。
「芦原温泉はこれまで『関西の奥座敷』と呼ばれていましたが、新幹線の新駅ができたことで『東京の奥座敷』になるかもしれません。また、今まで関東から、小浜(おばま)や三方(みかた)など敦賀より西に行くには不便でしたが、敦賀で1回乗り換えればすむので便利になりました」
しかも、北陸は豪雪地帯で飛行機に欠航や遅れが出ることもあるが、北陸新幹線は雪による運休も比較的少ない、という。
鉄道ファンが熱い視線を送るのが、北陸新幹線の東京方面からの終着駅となる敦賀駅だ。