岡本氏(右)から出馬要請の書面を受け取る二階伸康氏

 和歌山県は次期衆院選で現在3つある小選挙区が2つに減る。二階氏は新しい和歌山2区から出馬を予定していたが、自民党裏金問題で次期衆院選に出馬しないことを表明。だれが後継候補になるかが注目されていた。

 和歌山県内の21町村は、すべてがこの新2区となる。その町村会から出馬要請されたということは、実質的に伸康氏が二階氏後継の一番手になったといえる。

 この出馬要請を主導したとみられているのが岡本氏だ。

 自民党のある和歌山県議は岡本氏について、「二階氏が国政のキングメーカーなら、岡本氏は和歌山のキングメーカー」だと評する。

「2022年の和歌山県知事選では、先に世耕弘成参院議員が中心になって、総務官僚を自民党で推薦する話を進めていた。それを二階氏と岡本氏がタッグを組み、国民民主党など野党の衆院議員だった岸本周平氏を町村会が推し、自民党推薦をひっくり返し、一気に知事に押し上げたのは有名な話です」(前出の自民党県議)

 伸康氏の記者会見の日、“キングメーカー”の岡本氏を直撃した。

 まず、伸康氏への急な出馬要請についてはこう話す。

「和歌山と国とのパイプがなくなると心配でした。6月に衆院選があるんじゃないかとニュースにもなっており、すみやかに二階先生の後継のメドをつけなければと思った」

 新和歌山2区からは、伸康氏だけではなく、前述のように二階氏の長男、俊樹氏の名前もあがっていた。また、裏金事件で離党勧告の処分を受け、離党した世耕弘成参院議員も、衆院にくら替えして参戦するといわれてきた。なぜ、伸康氏だったのか。

「俊樹氏や世耕氏も新和歌山2区から出馬したいという話は知っている。それもわかった上で伸康氏に、和歌山町村会は総意で決めた」

 その理由についてはこう話す。

「伸康氏は、二階氏が国の中枢で活躍していた10年ほどですか。ずっと横でそれを見てきた。その経験がある。国のこともわかるし、和歌山県御坊市で育ち、和歌山のことも十分わかっている。それと46歳という若さ。この2つです。俊樹氏を、という人も町村会にはいたが、2人をケンカさせるのはダメです。家族なのでそちらで話し合いをしてくれとすでに伝えています。まさか俊樹氏が伸康氏を押しのけて出馬するなんて強引なことはしないはずだ」

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「世耕氏の名前はあがっていない」